第3話:【回復期】に買われるセクター(情報通信・一般消費財・金融)

不況の底を打ち、経済が再び上向き始める「回復期」において、どのような業種に資金が向かいやすいのか、そのメカニズムを解説します。

1. 回復期(Recovery)の経済環境とは

回復期は、中央銀行が不況を脱出するために行った「利下げ(金融緩和)」の効果が現れ始める時期です。

【回復期の基本的なパラメーター】

  • 金利: 低水準(不況時に引き下げられた金利が維持されている状態)
  • 企業業績: どん底から改善に向かい始める
  • 市場心理: 先行きの不安が和らぎ、将来の成長への期待が高まる

株式市場は実体経済よりも半年から1年早く動く性質があります。そのため、世間ではまだ不景気のニュースが流れていても、市場ではいち早く「低金利」と「将来の成長」の恩恵を受けるセクターへの資金移動(ローテーション)が始まります。

2. 回復期に買われる3つのセクターとその理由

この環境下において、構造的に利益を伸ばしやすい、あるいは株価が理論的に上がりやすくなるのが以下の3セクターです。

① 情報通信(ハイテク)

第2話で解説した通り、金利が低い時期は「割引率」が小さくなるため、将来の大きな利益成長が期待されるグロース株(ハイテク企業など)の理論的な株価が計算上高くなります。
また、景気回復を見越して企業が新しいシステムやITインフラへの設備投資を再開し始めるため、ソフトウェアや半導体などを提供する情報通信セクターの売上が立ちやすくなります。

② 一般消費財

一般消費財とは、自動車、家電、娯楽、アパレルなど「生活必需品ではないが、お金に余裕ができたら買いたいもの」を指します。
低金利環境下では、自動車ローンやクレジットカードの分割払いの金利負担が軽くなります。それに加えて景気回復への期待から消費者の財布の紐が緩むため、これらの耐久消費財やサービスへの支出がダイレクトに増加する構造になっています。

③ 金融(銀行など)

銀行の主な収益源は、預金者から低い「短期金利」で資金を集め、企業や個人に高い「長期金利」で貸し出すことによる『利ざや(金利差)』です。
景気回復の兆しが見えると、将来のインフレや利上げを織り込んで、短期金利よりも先に「長期金利」が上がり始めます。これにより銀行の利ざやが拡大し、利益が出やすくなります。さらに、景気が良くなることで企業の倒産が減り、銀行が抱える不良債権(貸し倒れリスク)が減少することも業績を押し上げる要因となります。


3. 次回のテーマ:好況期に買われるセクター

回復期を経て、経済が本格的に過熱していくと、社会全体のモノの需要が供給を上回り、物価が上昇(インフレ)し始めます。これに対応するため、中央銀行は低く抑えていた金利を引き上げる(利上げ)フェーズに移行します。

続く第4話では、景気がピークに向かって力強く拡大し、金利と物価が上昇していく「好況期」において、どのようなセクターが強みを発揮するのかを解説します。