第1話:自分のポートフォリオの偏りを直視する

長期積立の最適解を紐解く「投資信託ガイド」の第1話です。
新NISAの普及などで投資を始める人が増えました。とりあえずオルカン(全世界株式)とS&P500を半分ずつ買ってる人もいると思います。どちらもすばらしい商品だと思いますが自分が買っている、これから買う投資信託の構成割合も見てみて下さい。

1. オルカン(全世界株式)の「中身」

オルカン(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス連動型ファンド)は、「全世界」という名前がついていますが、世界中の国々に均等に投資しているわけではありません。時価総額(企業の規模)の大きさに応じて比率を決めているため、現在の構成比率の約6割以上が「アメリカ1国」に集中しているという事実があります。

【投資家が直視すべきオルカンの国別比率(概数)】

  • アメリカ:約60〜62%
  • 日本:約5%
  • イギリス・フランス等の欧州先進国:約15%
  • 新興国(インド・中国など):約10〜11%(インド単体では約2%程度に過ぎません)

つまり、「オルカンを1本買っている」時点で、あなたの投資マネーの半分以上はすでにアメリカ市場(特に巨大ハイテク企業)に投じられているのです。

2. 「オルカン+S&P500」の併せ買い

この事実を知らずに、「世界分散のオルカン」と「S&P500」を50%ずつ(半々で)積み立てた場合、ポートフォリオはどうなるでしょうか。

【半々で買った場合の「アメリカ比率」の計算】

  • オルカン(50%)のうち、約62%がアメリカ = 約31%
  • S&P500(50%)は、100%がアメリカ = 50%
  • 合計すると、ポートフォリオ全体の「約81%」がアメリカ株になります。

さらに、オルカンの上位銘柄とS&P500の上位銘柄は「完全に同じ(Apple、Microsoft、NVIDIA、Amazonなどの米巨大ハイテク企業)」であるということです。
本人は「世界とアメリカにバランスよく分散している」つもりでも、実態は「同じアメリカの巨大IT企業を、わざわざ2つの商品に分けて二重買いしているだけ」という集中投資になっています。


3. 自分の資産が「どこにあるか」を把握する

【事実確認】アメリカ集中投資は「悪」なのか?

誤解してはいけないのは、「アメリカ株に約8割集中すること」自体が悪いわけではありません。米国経済の強さを信じて意図的に比率を高めるのは立派な投資戦略です。
危険なのは、「自分がアメリカに8割以上も集中投資しているという事実に気づいていないこと」です。もし米国市場が大きく崩れた時、「オルカンも買っているから大丈夫」という根拠のない安心感を持つことは間違えています。

投資信託を買う際は、名前の雰囲気だけで選ぶのではなく「その中身(構成比率)はどうなっているか」をまず確認することも大切です。

自身のポートフォリオの現在地を把握したところで、続く第2話では、証券会社がこぞって売りたがる「テーマ型投信(AIファンドなど)」に潜む、高コスト商品の事実について解説します。