第4話:有事のニュースで反射的に動く「火器・弾薬・防護」の中小型・思惑株(豊和工業、石川製作所)

第1話から第3話にかけて、防衛力整備計画の柱であるミサイル防空、ドローン、サイバー空間などを担う中核企業群を見てきました。
第4話では、国策の「第4の柱:組織とインフラの強化(持続性と強靱性)」に直結する「火器・弾薬」の分野を解説します。

1. 「弾薬の確保」を担う業績直結の中核企業

防衛省は有事に戦い続けるための「持続性(継戦能力)」を最重要課題とし、弾薬や誘導弾(ミサイル)の確保に過去最大規模の予算を充てています。この恩恵を直接受ける、絶対的なシェアを持つ中大型銘柄が存在します。

【市場での立ち位置と事実】

  • 日本製鋼所(5631):火砲(大砲)とミサイル発射管の国内唯一
    戦車や護衛艦に搭載される大砲の砲身(筒)を製造できる国内唯一の企業です。また、防空体制強化の要であるミサイル防衛において、イージス艦等の「垂直発射装置(VLS)」の製造も担っており、防衛予算増額のド真ん中に位置する主要銘柄です。
  • 日油(4403):防衛用火薬・ロケット推進薬のトップ
    多種多様な化学製品を手掛ける優良企業ですが、防衛事業において各種弾薬の火薬や、ミサイル・ロケットを飛ばすための「固体推進薬(燃料)」の製造でトップクラスの実績を持ちます。消耗品である弾薬の増産要請に直接応える企業です。

2. 中小型銘柄

【市場での立ち位置と事実】

  • 豊和工業(6203):小銃・迫撃砲の製造
    工作機械メーカーですが、自衛隊員が装備する「20式5.56mm小銃」などの火器を製造しています。
  • 石川製作所(6208):機雷の製造
    段ボール製函機が主力ですが、防衛省向けに「機雷(海中に設置する爆弾)」を納入しています。
  • 細谷火工(4274):発煙筒・照明弾
    自衛隊向けの照明弾や発煙筒を製造する火工品メーカーです。

【注意点】

これらの企業は時価総額が数十億円〜百億円台と非常に小さく(小型株)、少ない資金でも株価が大きく動きやすいという構造的特徴があります。


3. CBRNE(特殊兵器)脅威への防護装備

現代の地政学リスクにおいて、核(Nuclear)や生物・化学兵器(Biological/Chemical)による脅威(CBRNE事態)への対応も重要視されています。

【市場での立ち位置と事実】

  • 興研(7963)重松製作所(7980):防毒マスクの二強
    産業用マスクの大手2社ですが、自衛隊向けの防護マスク(防毒・防護服)も独占的に供給しています。特殊な感染症の流行時や、周辺国による不穏な動きが報道された際に、リスク回避の資金が向かいやすい特徴を持っています。

ここまで、防衛予算の恩恵を受ける重工メーカーから、通信インフラ、新領域、そして有事に反応する中小型株まで、日本の防衛サプライチェーン全体を見てきました。

いよいよ次が全5回の最終話です。
第5話では、長年「防衛は儲からない(ボランティア事業)」と言われてきた常識を根底から覆した「利益率激変(最大15%への引き上げ)の事実」と、個別株のリスクを避けて防衛産業全体に投資できる「最新の防衛特化型ETF」について解説します。