1.経営成績等の概況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
(1)当期の経営成績・財政状態の概況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
(2)今後の見通し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
2.会計基準の選択に関する基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
3.連結財務諸表及び主な注記・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
(1)連結財政状態計算書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
(2)連結損益計算書及び連結包括利益計算書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
(3)連結持分変動計算書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
(4)連結キャッシュ・フロー計算書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
(5)連結財務諸表に関する注記事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
(継続企業の前提に関する注記)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
(セグメント情報等)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
(企業結合関係)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
(1株当たり情報)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
(重要な後発事象)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
当期の世界経済は、AI、電力、防衛等の一部分野を除き、国内・海外ともに製造業・建設業のベース需要が低迷し、世界の鉄鋼事業環境は危機的な状況が継続しています。中国では、経済減速による需給ギャップ拡大を背景に過剰生産が継続し、これに伴う安価な鋼材輸出増加が国際市況の低迷を招いています。こうした環境のもと、各国・地域で通商措置が発動されており、日本国内への輸出圧力がさらに高まっています。このため、日本においては輸入通商対策の強力な検討・推進が重要性を増している状況です。
当社は、こうした厳しい経営環境を早くから想定し、2021年3月に策定した「日本製鉄グループ中長期経営計画」(以下、前中長期経営計画)において、4つの柱として「国内製鉄事業の再構築とグループ経営の強化」、「海外事業の深化・拡充に向けた、グローバル戦略の推進」、「カーボンニュートラルへの挑戦」及び「デジタルトランスフォーメーション戦略の推進」を掲げるとともに、当初想定を上回る事業環境の変化にも対応する諸施策を実行してきました。国内では、生産設備構造対策による固定費削減、紐付き価格の是正と外部調達コスト変動影響の負担適正化とともに品種高度化を通じた限界利益の引上げによる損益分岐点の抜本的な引下げを実行し、その効果を着実に発現させてきました。加えて、国内鉄グループ会社再編によるシナジー最大化の追求、United States Steel Corporation(以下、USスチール)買収やインドでの能力拡張等の海外事業の深化・拡充、原料「調達」から「事業」への進化、流通を自らの事業分野へ取り込むことにより「幅と厚み」を持つ強靱な事業構造への進化を進めてきました。これらの取組みにより鉄鋼事業の環境悪化に先手を打つことで、当初想定以上に需要が減少し競合が激化する局面においても、実力ベース連結事業利益(※)6,000億円以上を確保し得る優位性を構築しました。その結果、世界の同業他社と比較して相対的に高水準の収益力を維持しているものと認識しています。
(※)事業利益より在庫評価差等を控除し、当社グループとしての実力を表すと認識しているもの。
当社グループは、各セグメントにおいて各社がそれぞれの環境変化に対応しながら、最大限の経営努力を重ねてきました。各セグメント別の業績の概況は以下のとおりです。
製鉄事業については、当期において以下の取組みを進めました。
国内事業においては、圧倒的な競争力のさらなる強化を推進してきました。ベース操業実力の着実な向上とともに前中長期経営計画に掲げた生産設備構造対策や新鋭設備の立上げの効果を最大発揮することにより、コスト競争力の徹底追求、品種高度化の推進、総合的ソリューションの展開を図りました。あわせて紐付き価格における外部調達コスト変動影響の負担適正化等の取組みを継続しています。加えて、グループ総合力の最大化に向け、国内鉄グループ会社再編を通じたシナジーの創出を目的として、戦略会社の完全子会社化や吸収合併、グループ会社間の統合による体質強化を推進してきました。その一環として、2025年4月に日鉄ステンレス㈱及び日鉄鋼管㈱を吸収合併しました。さらに、2026年4月に黒崎播磨㈱の完全子会社化を実施し、同年5月には、棒線・特殊鋼事業におけるシナジー拡大を目的に山陽特殊製鋼㈱の吸収合併を行うことを決定しました。
海外事業では、「需要の伸びが確実に期待できる地域」及び「当社の技術力・商品力を活かせる分野」において、需要地での鉄源一貫製造拠点の拡充を進めています。これにより、現地需要を確実に捕捉するとともに、一貫での高い付加価値の確保を図っています。
2025年6月にUSスチールの買収を完了し、高級鋼を中心に需要の伸びが期待される米国・欧州に本格参入しました。製造実力の向上を重要な課題と位置付け、必要な設備投資を進めるとともに、当社の操業・品質管理技術を全面的に移転することで、コスト競争力の向上を図っています。すでに技術系を中心に短期派遣者を含む100名超の派遣者が現地に赴任しており、今後も必要に応じて派遣者の増員を行い、USスチールの収益力の向上に取り組んでいきます。
さらに2026年5月には、欧州域内の経営・運営体制の強化を目的として、欧州の鉄源一貫製造拠点であるU. S. Steel Košice, s.r.o.とOvako ABを当社による直接出資体制へ移行(※)することを決定しました。これにより、長期的な視点に立った製品分野の成長戦略立案・実行を含め、欧州事業の発展を目指すこととしています。
(※)U. S. Steel Košice, s.r.o.:USスチール傘下から当社直接出資会社へ移行し、NIPPON STEEL SLOVAKIA s.r.o.に商号変更
Ovako AB:当社と山陽特殊製鋼㈱との統合により、当社直接出資会社へ移行
将来的な市場の拡大及び自国産化のさらなる進展が見込まれるインド市場においては、ArcelorMittal Nippon Steel India Limitedの既存拠点であるハジラ製鉄所にて、能力拡張と製品高度化を進めています。加えて、新たに用地を取得したインド南部ラジャヤペタにおいても鉄源一貫製鉄所の建設計画を推進しており、2026年3月に起工式を開催し、土地造成工事に着手しました。これらの取組みを通じて市場におけるプレゼンスの向上を図っていきます。
また、タイについては、当社のホームマーケットとの認識のもと、タイにおける唯一の電炉一貫薄板製造会社であるG Steel Public Company Limited及びG J Steel Public Company Limitedの立て直しに注力し、NS-Siam United Steel Co., Ltd. との一体運営の強化等を通じて、海外からの輸入材にも対抗し得る強固なサプライチェーンの構築を進めています。
2025年度末における当社のグローバル粗鋼生産能力は8,200万トン(当社単独及び30%以上出資会社の生産能力の単純合計)となりました。今後も、グローバル粗鋼1億トン体制の実現を目指し、米国、欧州、インド、タイにおける一貫生産体制の重点的な強化を通じて、収益力の向上に取り組んでいきます。
原料事業においては、原料権益投資を通じて、市況ボラティリティの高い環境にも左右されにくい連結収益構造の確保を図っています。
カーボンニュートラルへの取組みについては、「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」の実現に向けて各種施策を推進してきました。2025年5月には、2029年度までに九州製鉄所八幡地区、瀬戸内製鉄所広畑地区、山口製鉄所(周南)において電炉3基を新設・増設・再稼働させる設備投資を決定し、当該投資はGX推進法に基づく政府支援事業に採択されました。また、東日本製鉄所君津地区における小型試験炉でのSuper COURSE50開発試験において、2026年2月から3月にかけて世界最高水準の更新となるCO2排出量45%削減を実現しました。さらに、波崎研究開発センターにおいて、水素による低品位鉄鉱石からの還元鉄製造を行う試験還元炉を建設し、2026年3月に運転を開始しました。このように、カーボンニュートラル実現に向けた「大型電炉での高級鋼製造」、「水素による還元鉄製造」及び「高炉水素還元」の3つの革新技術の開発が着実に進展しています。加えて、GXスチールの市場形成に向け、需要の創出並びに鉄鋼の製造過程におけるCO2削減の価値が鋼材価格として適切に評価されるための国際的なルールづくり及び標準化を進めています。
また、当社はカーボンニュートラルの実現を通じて2つの価値をお客様に提供しています。1つは鉄鋼製造プロセスにおけるCO2排出量の削減を認定される鉄鋼製品~『NSCarbolex® Neutral』、もう1つは社会におけるCO2排出量削減に寄与する高機能製品・ソリューション技術~『NSCarbolex® Solution』です。これらの価値の提供を通じて、お客様の脱炭素ニーズに応え国際競争力も支えていきます。あわせて、脱炭素化における鉄鋼業の役割の重要性が再認識されるなか、当社としてもカーボンニュートラル実現に向けた革新技術の開発・実機化を加速・前倒しを行うこととしています。なお、当社のCO2排出量削減目標及び気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組み等に基づく気候変動リスク情報については、統合報告書2025にて開示しています(https://www.nipponsteel.com/ir/library/annual_report.html)。さらに、2026年3月に当社のカーボンニュートラル施策の推進状況やGXスチール市場の形成について御理解いただくこと等を目的としたGX説明会を開催しました。説明会には、機関投資家、金融機関、アナリスト、環境保護団体及びメディアより多くの方々に御参加いただきました(https://www.nipponsteel.com/ir/library/strategy/pdf/20260324_100.pdf)。
DX戦略の一環として、データ及びデジタル技術を活用した業務・生産プロセス改革を推進してきました。当期の具体的な取組みの一例として、これまで取り組んできた統合データプラットフォーム「NS-Lib」の構築において、経営上必要となるデータに加え、各製鉄所で個別に蓄積されてきた主要工程データの集約を完了しました。これにより、全社一元化されたデータの利活用を通じて、迅速かつ高度な意思決定及び課題解決の実現を図っています。また、製鉄所構内においては、従来から進めてきたクレーンの自動化や無人搬送車両(AGV)の導入に加え、名古屋製鉄所を皮切りに、製品・半製品等を運搬する大型特殊車両や鉄道の無人化(自動化)及び遠隔化を積極的に推進しています。遠隔化については一部で実機化を完了しており、無人化についても2026年度以降の実機化を目指すなど、構内物流の効率化・高度化に取り組んでいます。さらに、持続的成長に向けて、付加価値を生まない業務上の「壁」「重なり」「ムダ」を排除し、本質的な課題に注力できる業務プロセスへと転換するための業務刷新・効率化にも着手しています。加えて、当社は子会社である日鉄ソリューションズ㈱とともに、鉄鋼業界で初めて人工知能学会全国大会のプラチナスポンサーとなりました。あわせて、個人レベルでの汎用AI活用の定着を図るなど、AIの積極的な利活用を推進しています。今後も、社内外のデータ及びAIを活用し、業務の高度化・自動化・生産性向上・迅速化等の各種DX施策に継続的に取り組んでいきます。
製鉄事業として、売上収益は9兆2,217億円(前期は7兆8,743億円)、事業利益は4,399億円(前期は6,210億円)となりました。
日鉄エンジニアリング㈱においては、各事業の案件規模や工事進捗状況等による増減はあるものの、過年度から順調に積み上がった受注残高を背景に、EPC分野の廃棄物発電プラント事業等で大型案件の工事が着実に進捗していることや、O&M・サービス分野の電力ビジネス事業での取引規模増等により、売上収益は前年度とほぼ同じ水準となりました。事業利益については、EPC分野における堅調な工事進捗に加え、電力ビジネス事業をはじめとするO&M・サービス分野の収益改善等もあり、前年度比で増益となりました。
エンジニアリング事業として、売上収益は3,944億円(前期は4,004億円)、事業利益は231億円(前期は146億円)となりました。
日鉄ケミカル&マテリアル㈱においては、米国関税措置による世界経済の先行き不透明感や原料価格の高騰の影響を受ける厳しい事業環境下において、コスト削減や販売価格改善に努めるとともに、AI関連需要の取込みにより事業全体は概ね堅調に推移しました。
コールケミカル事業は、主力の黒鉛電極用ニードルコークスの需要低迷やピッチコークスの在庫調整が続く一方、タイヤ向けカーボンブラックは前年度並みで推移しました。化学品事業は、ベンゼン及びスチレンモノマーの需要停滞や中国での生産設備の新・増設継続の影響を受け、市況は低迷しました。機能材料事業では、AIサーバー・データセンター向け需要の拡大を背景に、機能樹脂や基板材料、半導体材料が好調に推移しました。
ケミカル&マテリアル事業として、売上収益は2,579億円(前期は2,691億円)、事業利益は219億円(前期は189億円)となりました。
日鉄ソリューションズ㈱においては、「2025-2027中期経営計画」で掲げた以下の4つの抜本的変革を中心に取り組み、初年度はほぼ計画どおりに進捗しました。
「事業収益モデルの変革」については、「TAM型※」モデルの拡大を図るべく各種施策に取り組み、事業構造の転換が進んでいます。「顧客アプローチの変革」については、企業のデジタル変革を支援するオファリングブランド「Corepeak」を立ち上げ、お客様へのアプローチを開始しています。「技術獲得・適用プロセスの変革」については、開発・運用統合プラットフォーム「Nestorium」を全社標準のITサービスプラットフォームとして活用し、開発生産性の向上に取り組んでいます。「社内業務・マネジメントの変革」については、管理系部門の統合、社内システムの刷新、生成AIの適用促進等による業務生産性の向上、経営管理の高度化に取り組んでいます。
また、外部成長戦略・グローバル戦略についても積極的に取り組んでおり、インフォコム㈱及びインドネシアのPT. WCS ABYAKTA NAWASENAのグループ会社化や、機能強化・提供価値向上、事業領域の拡張等を目的とした資本業務提携等も推進しています。
システムソリューション事業として、売上収益は3,828億円(前期は3,393億円)、事業利益は433億円(前期は388億円)となりました。
(※)TAM型:以下の3つの収益モデルから構成される新たなビジネスモデル
・SI Transformation(次世代SIモデル「T型」):革新的技術を用いて高い生産性で提供
・Asset Driven(アセット活用型 「A型」):強みをアセット化して提供
・Multi Company Platform(PF提供モデル「M型」):共同利用プラットフォームを提供
当期の連結業績については、売上収益は10兆632億円(前期は8兆6,955億円)、実力ベース事業利益は6,504億円(前期は7,937億円)、事業利益は5,141億円(前期は6,832億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は171億円(前期は3,502億円)となりました。
当期末の連結総資産については、当社米国子会社とUSスチールとの合併(以下「本合併」という。)等により、営業債権及びその他の債権の増加(3,377億円)、棚卸資産の増加(5,769億円)、有形固定資産の増加(2兆2,639億円)、のれんの増加(1,881億円)、無形資産の増加(5,695億円)等がある一方で、現金及び現金同等物の減少(2,112億円)等があり、前期末(10兆9,424億円)から3兆7,181億円増加し14兆6,605億円となりました。
負債についても、本合併に伴う株式取得対価のパーマネントファイナンス等により有利子負債が5兆1,742億円と前期末(2兆5,074億円)から2兆6,668億円増加したことや、営業債務及びその他の債務の増加(6,687億円)等があり、前期末(5兆390億円)から3兆5,969億円増加し8兆6,360億円となりました。
資本については、親会社の所有者に帰属する当期利益171億円による増加、配当金の支払による減少(1,464億円)がある一方で、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の公正価値の純変動の増加(579億円)、在外営業活動体の換算差額の増加(1,753億円)等があり、前期末(5兆9,033億円)から1,211億円増加し6兆245億円となりました。なお、当期末の親会社の所有者に帰属する持分は5兆5,304億円となり、親会社の所有者に帰属する持分に対する有利子負債の比率(D/Eレシオ)は0.94倍(劣後ローン・劣後債資本性調整後0.71倍)となりました。
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益1,728億円に、減価償却費及び償却費(5,739億円)の加算、事業再編損(2,712億円)の加算等の収入がある一方で、持分法による投資損益(854億円)の控除の調整に加え、法人所得税の支払(2,233億円)等による支出があり、7,169億円の収入(前期は9,785億円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、関係会社株式の売却による収入(1,005億円)等がある一方で、有形固定資産及び無形資産の取得による支出(8,631億円)、本合併を中心とした連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出(2兆155億円)等があり、2兆8,371億円の支出(前期は4,624億円の支出)となりました。
この結果、フリーキャッシュ・フローは2兆1,202億円の支出(前期は5,161億円の収入)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、本合併に伴う株式取得対価のパーマネントファイナンスを目的としたコミット型劣後特約付タームローン、転換社債型新株予約権付社債、JBIC協調融資等の資金調達を通じた有利子負債の増加(2兆52億円)等による収入がある一方で、前期末及び当第2四半期末の配当の支払(1,464億円)等による支出があり、1兆8,863億円の収入(前期は3,133億円の支出)となりました。以上により、当期末における現金及び現金同等物は4,612億円となりました。
当社は、業績に応じた利益の配分を基本として、企業価値向上に向けた投資等に必要な資金所要、先行きの業績見通し、連結及び単独の財務体質等を勘案しつつ、第2四半期末及び期末の剰余金の配当を実施する方針としています。「業績に応じた利益の配分」の指標としては、連結配当性向年間30%程度を目安とします。また、2030中長期経営計画の5年間(2027年3月期~2031年3月期)においては、1株当たりの年間配当額の下限を24円とする方針とします。なお、第2四半期末の剰余金の配当は、中間期業績及び年度業績見通し等を踏まえて判断することとしています。
当第2四半期末の配当については、1株につき60円(2025年10月1日を効力発生日として、1株を5株とする株式の分割を実施したため、当該株式の分割を踏まえて換算した場合、1株につき12円)を実施しました。当期末の配当については、第3四半期決算発表時(2026年2月5日)に公表したとおり、1株につき12円として定時株主総会に御提案させていただく予定です。これにより、前中長期経営計画の最終年度となる2025年度の配当については、当該株式の分割を踏まえて換算した場合、年間配当額は1株につき24円となり、USスチール合併に伴う一過的な損失を除いた2021~2025年度の5年間累計での配当性向は30%程度となります。
2025年12月、当社は、お客様価値の創造を通じて持続可能で豊かな社会の実現に貢献する、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」を目指し、成長を続けるため、「2030中長期経営計画」を策定しました。2026年度からの2030中長期経営計画では、一段と厳しい経営環境を想定し、国内事業のさらなる収益基盤強化と海外事業でのグローバル成長戦略の実行により、世界No.1の鉄鋼メーカーへの復権を果たします。
連結実力利益1兆円以上の実現を目指すとともに、将来のグローバル粗鋼1億トン以上の実現に向け、国内は、さらなる収益基盤強化による収益力向上、海外は、グローバル成長戦略の実行による飛躍的利益拡大を推進する各種施策を実行していきます。
これらの戦略を支える経営基盤をさらに強化するために、研究リソースを継続的に投入し世界最先端技術の開発を推進するとともに、業務刷新・効率化を推進し、人材の競争力強化等にも取り組んでいきます。
(次期の経営成績の見通し)
こうした状況のもと、当社は、国内事業においてはこれまで進めてきたグループトータルでの体質強化を加速するとともに、海外事業においてはUSスチールをはじめ既存事業の収益力強化とさらなる規模拡大を通じて、「新たな地産地消体制の確立(米・欧・印・ASEAN)」に向けたマネジメント体制の強化を急ぎます。これらを同時に推進していくために、国内の組織、人事及び業務の見直しをさらに進め、国内人材の海外投入も拡大していきます。
2026年度の通期業績見通しについては、中東での戦争開始前の事業環境に基づくものとして前期に対しさらなる環境悪化のなかでUSスチールの収益回復を梃子に実力ベース事業利益7,000億円(上期3,000億円、下期4,000億円)以上の確保を目指します。特に、下期については年率8,000億円以上とし、2027年度以降での海外事業収益拡大等により1兆円規模への成長に向けた確固たる基盤構築を目指します。
USスチールについては、シナジーを中心とする収益改善施策の効果発揮等により、実力ベース事業利益1,000億円以上の収益貢献を見込んでいます。
中東情勢が経済活動に与える影響については、過去のオイルショック時に見られたエネルギー供給面での影響にとどまらず、グローバル分業型のサプライチェーンを構築している現在の経済構造のもと世界全体に波及するものとなっています。加えて、中東地域の経済規模が格段に拡大したことにより中東地域は日本を含むアジア諸国にとって重要な輸出マーケットとなっており、同地域の情勢は幅広い産業の需要に極めて大きな影響を及ぼします。特に鉄鋼業は多くの産業を下支えする基幹産業であるなか、当社は、他社と比較して品種メニューが豊富で対応する産業分野も極めて広く事業展開もよりグローバルに進めていることから、中東情勢が当社業績に与える影響について、現時点で網羅的かつ合理的に把握することはできません。
一定の想定が可能な影響としては、原燃料等コストの上昇や中東向け鋼材の直接輸出の減少等が挙げられ、これらにより第1四半期においては▲500億円程度の影響が想定されます。しかしながら、事態は終結の見通しが立っておらず、仮に終結に至った場合でも、鉄鋼需要やコスト面への悪影響が直ちに解消するわけではありません。従って、第2四半期以降を含む2026年度通期における影響について現時点で合理的に定量化できないため、業績見通しには含めていません。
中東情勢の業績に与える影響は合理的に把握することはできませんが、現時点では2030中長期経営計画で導入した下限配当等を踏まえ、2026年度の配当は1株につき24円を予定しています。
2.会計基準の選択に関する基本的な考え方
当社グループは、グローバル展開の一層の推進による企業価値の向上と資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上を目的として、国際会計基準(IFRS)を適用しています。
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
(単位:百万円)
該当事項なし。
1.報告セグメントの概要
当社は製鉄事業を推進する事業会社であると同時に、エンジニアリング、ケミカル&マテリアル、システムソリューションの各事業の運営を行う事業セグメント会社の持株会社である。各事業セグメント会社は日本製鉄グループ経営戦略を共有し、独立的・並列的に事業を推進しており、これらの4つの事業セグメントを報告セグメントとしている。
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(単位:百万円)
(注) セグメント利益の調整額△10,223百万円には、日鉄興和不動産㈱の持分法による投資利益12,808百万円、及びセグメント間取引消去等△23,032百万円が含まれている。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
(単位:百万円)
(注) セグメント利益の調整額△14,205百万円には、日鉄興和不動産㈱の持分法による投資利益6,590百万円、及びセグメント間取引消去等△20,796百万円が含まれている。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
(United States Steel Corporationの合併)
(ⅰ)被取得企業の名称及び事業の内容
被取得企業の名称 United States Steel Corporation(以下「USスチール」という。)
事業の内容 自動車・家電・建材用途等の薄板、エネルギー分野用途の鋼管製品の製造・販売
(ⅱ)取得日
2025年6月18日
(ⅲ)取得した議決権付資本持分の割合
(ⅳ)企業結合の主な理由
当社は、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」として、「需要の伸びが確実に期待できる地域」「当社の技術力・商品力を活かせる分野」において、上工程から一貫して付加価値を創造できる鉄源一貫生産体制を拡大し、日本製鉄グループとして「グローバル粗鋼1億トン体制」を目指している。一貫生産体制の拡大に当たっては、買収・資本参加(ブラウンフィールド)等による一貫製鉄所の取得、既存拠点の能力拡張を基本戦略としており、2019年12月にインドのEssar Steel India Limited(現AM/NS India)、2022年2月にタイのG Steel及びGJ Steelを買収した。
米国鋼材市場は、輸出に依存しない国内需要中心の供給構造となっており、また、安価なエネルギー、世界経済の構造変化を背景に、エネルギー、製造業等の鋼材需要分野における米国内回帰の動きが顕著となってきている。米国鋼材市場は国内需要が今後も安定的に伸長すると見込まれていることに加えて、先進国最大の市場であり、高水準の高級鋼需要が期待できることから、当社の培ってきた技術力・商品力を活かせる地域である。
本合併は、当社の海外事業戦略に合致するだけではなく、規模及び成長率が世界的に見ても大きいインド、ASEANに加えて、先進国である米国に鉄源一貫製鉄所を持つことによるグローバル事業拠点の多様化の観点からも、大きな意義のある投資と判断した。今後、この3つのグローバル重点拠点の拡張・充実により、企業価値のさらなる向上を目指していく。
本合併により、当社グループのグローバル粗鋼生産能力は8,200万トンまで拡大し、さらなる広がりを持つことになる。当社とUSスチールの有する、電磁鋼板や自動車鋼板などの高級鋼製品に関する技術力を活かした製品・サービスを提供することで、顧客と社会に広く貢献し、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」として共に前進していく。
また、当社とUSスチールは、2050年カーボンニュートラル達成という目標に向けて、これまで技術開発を推進してきており、それぞれ技術的な強みを持っている。当社は、「高炉水素還元」「水素による還元鉄製造」「大型電炉での高級鋼製造」の3つの超革新的技術によるカーボンニュートラルの実現を目指している。
今後、両社の先端技術を融合することによって、2050年カーボンニュートラルへの取り組みをさらに推進し、持続可能な社会の実現に貢献していく。
(ⅴ)被取得企業の支配を獲得した方法
当社が本合併のために設立した完全子会社とUSスチールの合併による方法(逆三角合併)
(注) 企業結合に係る取得関連費用は前連結会計年度までに21,984百万円、当連結会計年度は7,814百万円を連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に計上している。また当連結会計年度に、USスチール従業員へのクロージング・ボーナスとして14,288百万円を連結損益計算書の「その他費用」に計上している。
(3)取得資産及び引受負債の公正価値、非支配持分及びのれん
当第3四半期連結累計期間において暫定的な会計処理を行っていたが、当第4四半期連結会計期間において確定している。暫定的な金額からは主に無形資産の認識及びそれに伴う繰延税金負債の計上等により、流動資産が16,861百万円、非流動資産が308,163百万円、非流動負債が75,063百万円増加しており、流動負債が5,726百万円減少している。
(注) 1.非支配持分は、USスチールがStelco社に付与したオプション契約によるものである。
(注) 2.当社は、取得対価にかかる為替リスクをヘッジするため為替予約を締結し、ヘッジ会計を適用してい
る。ベーシス・アジャストメントは、取得日におけるヘッジ手段の公正価値であり、当初認識された
のれんの調整額に含めている。
(注) 3.のれんの構成要因は、主として相乗効果の創出により期待される将来の超過収益力である。
認識されたのれんのうち、税務上損金算入が見込まれるものはない。
1.基本的1株当たり当期利益
親会社の普通株主に帰属する当期利益
(単位:百万円)
普通株式の期中平均株式数
(単位:株)
(注)1 当社は、2025年10月1日を効力発生日として、1株を5株とする株式の分割を実施したため、前連結会計年
度の期首に当該株式の分割が行われたと仮定し、普通株式の期中平均株式数を算定している。
(注)2 業績連動型株式報酬制度に係る信託が保有する当社株式は、基本的1株当たり当期利益の算定上、普通株式
の期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めている。
2.希薄化後1株当たり当期利益
希薄化後の普通株主に帰属する当期利益
(単位:百万円)
普通株式の期中平均株式数
(単位:株)
(注)1 当社は、2025年10月1日を効力発生日として、1株を5株とする株式の分割を実施したため、前連結会計年
度の期首に当該株式の分割が行われたと仮定し、希薄化効果の影響を算定している。
(注)2 当連結会計年度において存在する転換社債型新株予約権付社債に係る潜在株式(62,911,209株)は、逆希薄
化効果を有するため、希薄化後1株当たり当期利益の計算から除外している。
該当事項なし。