1.経営成績等の概況 ………………………………………………………………………………………………2
(1)当期の経営成績の概況 ……………………………………………………………………………………2
(2)当期の財政状態の概況 ……………………………………………………………………………………4
(3)当期のキャッシュ・フローの概況 ………………………………………………………………………4
(4)今後の見通し ………………………………………………………………………………………………4
2.会計基準の選択に関する基本的な考え方 ……………………………………………………………………5
3.財務諸表及び主な注記 …………………………………………………………………………………………6
(1)貸借対照表 …………………………………………………………………………………………………6
(2)損益計算書 …………………………………………………………………………………………………8
製造原価明細書 ……………………………………………………………………………………………9
(3)株主資本等変動計算書 ……………………………………………………………………………………10
(4)キャッシュ・フロー計算書 ………………………………………………………………………………12
(5)財務諸表に関する注記事項 ………………………………………………………………………………13
(継続企業の前提に関する注記) ………………………………………………………………………………13
(表示方法の変更) ………………………………………………………………………………………………13
(会計上の見積りの変更) ………………………………………………………………………………………13
(株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記)………………………………………………………13
(セグメント情報等) ……………………………………………………………………………………………13
(1株当たり情報) ………………………………………………………………………………………………14
(重要な後発事象) ………………………………………………………………………………………………14
1.経営成績等の概況
当事業年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)は、世界経済はインフレ圧力の緩和や主要国の金融政策の動向により、緩やかな回復基調を維持していますが、一方で依然として変動性が高い状況も継続しています。
我が国の経済は、国内外の景気回復の兆しを背景に、民間消費や設備投資が緩やかに持ち直しつつあります。一方で、国際情勢の不確実性や地政学的リスクの高まりに加え、物価上昇や金融資本市場の変動等により、依然として先行き不透明な状況が継続しています。特にバイオテクノロジー企業を取り巻く資金調達環境は、国内外の金利動向や投資家のリスク選好の変化等の影響を受け、引き続き慎重な状況が継続しています。
当社は、2025年度におきましては、第17回乃至第20回新株予約権を発行して資金を調達し、主にCAR-ipsNKT細胞療法の2026年度から予定している米国臨床試験の準備に投じ、事業化に向けて着実に前進しました。
細胞医薬
〔iPS細胞由来再生NKT細胞療法:BP2201〕
BP2201(iPS-NKT)は、がん細胞の殺傷を含め多面的な抗腫瘍効果をもつナチュラル・キラーT(NKT)細胞*1を、iPS細胞技術を使って大量製造し、作り置きしたうえでがん治療に用いる新規の他家細胞医薬候補です。
国立大学法人千葉大学において、世界初のiPS-NKTを用いた頭頸部がん患者を対象とする医師主導の第Ⅰ相臨床試験(2020年6月開始)が実施され、2024年1月に終了しました。主要評価項目である忍容性および安全性に問題がないこと、並びに腫瘍増殖抑制例を含む初期的な臨床活性の確認が示され、「Nature Communications」誌2025年12月30日版で報告されています。
本治験で用いられた非遺伝子改変iPS-NKT細胞は、いろいろながん種のがん抗原に対するCAR(キメラ抗原受容体)遺伝子を導入した、新たな遺伝子改変iPS-NKT細胞医薬へ展開する土台/プラットフォームとなり、幅広いがん種と世界の幅広い地域への展開を可能にします。
当社は、開発元の国立研究開発法人理化学研究所(以下「理研」)からのiPS細胞由来NKT細胞(iPS-NKT)のCAR-T(キメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞療法)をはじめとする他家細胞療法使用を広範かつ排他的に保護する特許(日米欧で登録済み)の独占使用権を取得しています。
〔iPS細胞由来BCMA CAR-NKT細胞療法:BP2202〕
BP2202(BCMA CAR-ipsNKT)は、非遺伝子改変iPS-NKT細胞に多発性骨髄腫の目印(抗原)となるBCMA(B細胞成熟抗原)を認識するキメラ抗原受容体(CAR: Chimeric Antigen Receptor)を発現させがん細胞殺傷能を高めた新規の他家CAR-T細胞療法*2です。
2026年度から米国における臨床試験実施を予定しており、米国食品医薬品局(FDA)に対する開始申請(IND)の最終段階に入っております。
BP2202は、これまで医薬品として承認されている自家CAR-T細胞に用いられる患者自身のT細胞の代わりに、健常人ドナーから作製した他家のiPS細胞由来NKT細胞を用いることによって作り置きが可能になったCAR-T細胞医薬品であることを特徴とします。臨床試験を通して検証されている作用メカニズムを有する細胞医薬の細胞部分を、患者自身のT細胞から、より利便性の高い他家NKT細胞に切り替えていくコンセプトで開発を進めています。
当社は2023年5月にSTAR-CRISPRTM遺伝子編集技術をライセンス導入し、固形がんを含む様々な適応症に対して高度な遺伝子組換型CAR-ipsNKT細胞療法プログラムを創出することが可能となりました。現在その先駆けの製品として、多発性骨髄腫治療薬候補となるBCMA CAR-ipsNKT (BP2202)の開発を進めています。
これまでにマスターiPSセルバンクの構築と、マスターiPSセルバンクからNKT細胞への分化誘導を行う製造工程の確立を終えています。後者については、当社で確立した高純度かつ高増殖の製造工程を、iPS細胞治療薬製造の先進企業で3Dバイオリアクターを用いる製造プラットフォームを有するCellistic社に移管し、より優れた製造工程を確立しました。
同プログラムは、2025年7月に米国食品医薬品局(FDA)より多発性骨髄腫を対象疾患とする希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定されています。
〔HER2 CAR-T細胞療法:BP2301〕
BP2301は、様々な固形がんで高発現するHER2を標的とするCAR-T細胞療法です。
現在、国立大学法人信州大学においてHER2陽性の再発・進行骨・軟部肉腫及び婦人科悪性腫瘍を対象とする遺伝子改変HER2 CAR-T細胞の臨床第Ⅰ相医師主導治験を継続しております。
これまで血液がんを標的とするCAR-T細胞療法は、優れた臨床効果が臨床試験で示され、承認されてきました。しかし、より患者数の多い固形がんへの展開においては、血液がんのような有効性を示すことができていません。投与されたCAR-T細胞が、免疫抑制的な腫瘍微小環境において疲弊して機能を喪失し、十分に臨床効果を発揮できないからと考えられています。
この課題を解決するために、BP2301では、体内での優れた複製能と長期生存能を特徴とし、それによって腫瘍微小環境における疲弊抵抗性と持続的抗腫瘍効果が期待される幹細胞様免疫記憶型(ステムセル・メモリー・フェノタイプ)細胞を多く含むCAR-T細胞を用いる技術の開発に成功しました。
これは、国立大学法人信州大学の中沢洋三教授の非ウイルス遺伝子導入法に基づき、中沢教授及び同大学柳生茂希教授と新規の細胞培養法を共同開発したことによって可能になりました。
本製造方法は、国内、中国、及び米国にて特許査定を受けています。
抗体医薬
抗体医薬では、腫瘍組織においてがん細胞を排除する免疫の働きを抑制する免疫チェックポイント分子*3もしくは免疫調整分子に結合し、その機能を阻害する抗体の開発を進めています。
CD39分子とTIM-3分子を双方発現する免疫細胞においてこれらを同時に阻害する抗CD39×抗TIM-3二重特異性抗体BP1212、がん細胞上に発現するCD39分子とT細胞上に発現するCD3分子双方を標的とするT細胞エンゲージャーBP1223を開発パイプラインとして有します。
BP1212は、固形がんを対象に、腫瘍組織内の樹状細胞が陥る免疫抑制状態を解除し、抗腫瘍T細胞免疫を誘導させるものです。この作用メカニズムを裏付ける非臨床試験データを、2025年6月に開催された学会Immune Response in Cancer and Infection(IRCI)2025において発表しております。
またBP1223は、急性骨髄性白血病を対象に、がん細胞が発現するCD39を標的に、T細胞に活性化刺激を入れながらがん細胞に接近させ、がん細胞を殺傷させる作用メカニズムのものです。急性骨髄性白血病を対象とする薬効薬理試験及び作用機序解析を国立がん研究センター東病院と共同で進めており、研究成果の一部を2024年12月開催の米国血液学会にて発表しました。
これらの結果、当事業年度につきましては、売上高は84千円(前年同期の売上高は1,133千円)、営業損失は1,295,001千円(前年同期の営業損失は1,160,918千円)、経常損失は1,293,533千円(前年同期の経常損失は1,147,879千円)、当期純損失は1,304,951千円(前年同期の当期純損失は1,151,149千円)となりました。
① 流動資産
当事業年度末における流動資産は前事業年度末より1,482,915千円増加し2,554,230千円となりました。これは、現金及び預金が、研究開発に関連する支出等があった一方で、株式の発行等により1,345,727千円増加したことが主な要因であります。
② 固定資産
当事業年度末における固定資産は前事業年度末より1,337千円増加し50,634千円となりました。これは、オフィス賃料の上昇に伴い差入保証金が増加したことによるものであります。
③ 流動負債
当事業年度末における流動負債は前事業年度末より29,696千円増加し、161,358千円となりました。これは、未払金が37,670千円増加し、資産除去債務が5,056千円増加した一方で、1年内償還予定の社債が25,000千円減少したことが主な要因であります。
④ 固定負債
当事業年度末における固定負債は前事業年度末より11,091千円増加し75,053千円となりました。これは、退職給付引当金が7,247千円増加したこと及び資産除去債務が3,844千円増加したことが主な要因であります。
⑤ 純資産
当事業年度末における純資産は前事業年度末より1,443,464千円増加し、2,368,452千円となりました。これは、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金の合計が2,749,730千円増加した一方で、当期純損失により1,304,951千円減少したことが主な要因であります。以上の結果、自己資本比率は前事業年度末の80.6%から90.1%となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比べて1,345,727千円増加し、2,156,198千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は1,365,851千円(前事業年度は1,250,359千円の支出)となりました。これは主に税引前当期純損失1,302,531千円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,928千円(前事業年度は1,370千円の支出)となりました。これは、主に差入保証金の支出1,337千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は2,713,507千円(前事業年度は1,004,840千円の収入)となりました。これは、主に新株予約権の行使による株式の発行による収入2,737,224千円によるものであります。
当社は、新規がん免疫治療薬の創出を事業目的としています。がん細胞を殺傷する免疫の仕組みを利用した治療薬を開発領域とし、早期の開発段階を手掛け、製薬企業へのライセンスアウトを主な収益化の方法とする事業モデルを採っています。各開発パイプラインを、ライセンス取引フローが多くある開発段階へと進めることが現在の目標になります。
現状のパイプラインは以下のとおりで、これまで想定していた展開どおりに開発を進めていきます。
<語句説明>
*1(NKT細胞)
ナチュラル・キラー(NK)細胞とT細胞の特徴を併せもち、自然免疫と獲得免疫の橋渡しを
する役割をもつ免疫細胞。がん細胞をT細胞受容体やNK細胞受容体を通して直接殺傷する
能力をもつと同時に、T細胞受容体を通して樹状細胞など他の免疫細胞を活性化させる
作用をもつ。
活性化すると、多様なサイトカインを産生し、自然免疫系に属するNK細胞の活性化と
樹状細胞の成熟化を促す。成熟した樹状細胞は、さらに獲得免疫系に属するキラーT細胞
を増殖・活性化させることで、相乗的に抗腫瘍効果が高まる。
*2(CAR-T細胞療法)
Chimeric Antigen Receptor T-cell Therapy:キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞療法。
がん細胞が発現する抗原を認識するキメラ抗原受容体を、T細胞(抗腫瘍免疫をもつ
リンパ球の一種)に遺伝子導入し、培養で増殖させて投与する治療法。
*3(免疫チェックポイント分子)
免疫恒常性を保つために自己に対する免疫応答を抑制するとともに、過剰な免疫反応を
抑制する分子群のこと。がん免疫においては、過剰な活性化によって自己を攻撃する
のを防ぐために存在しているが、発がん過程では、がん細胞が免疫系からの攻撃を回避し
増殖するために利用される。
2.会計基準の選択に関する基本的な考え方
当社は、会計基準につきましては日本基準を適用しております。今後のIFRS(国際財務報告基準)の検討につきましては、国内外の諸情勢を踏まえて、適切に対応していく方針であります。
3.財務諸表及び主な注記
研究開発原価明細書
(原価計算の方法)
当社の原価計算は、個別原価計算であります。
前事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
当事業年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
該当事項はありません。
(キャッシュ・フロー計算書関係)
前事業年度において、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の「その他」に含めておりました「前払金の増減額(△は増加)」は、重要性が増したため、当事業年度より独立掲記することとしております。この表示方法の変更を反映させるため、前事業年度の財務諸表の組替えを行っております。
この結果、前事業年度のキャッシュ・フロー計算書において、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の「その他」に表示していた△118,164千円は、「前払金の増減額(△は増加)」△111,629千円、「その他」△6,535千円として組み替えております。
(会計上の見積りの変更)
資産除去債務の見積りの変更
当事業年度において、建物賃貸借契約に伴う原状回復義務として計上していた資産除去債務について、退去時に必要とされる原状回復費用に関する新たな情報の入手に伴い、見積りの変更を行いました。
この見積りの変更による増加額8,807千円を変更前の資産除去債務残高に加算しております。
なお、この変更に伴い計上した有形固定資産については減損損失8,807千円を計上しており、当該見積りの変更により、当事業年度の税引前当期純損失は8,807千円増加しております。
(株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記)
当事業年度において、第18回、第19回および2025年11月21日に発行決議を行った第20回新株予約権の権利行使があり、普通株式48,400,000株を発行総額2,747,043千円で発行し、新株予約権の振替額2,687千円も含め、資本金が1,374,865千円、資本準備金が1,374,865千円それぞれ増加しました。
この結果、当事業年度末において、資本金が2,574,735千円、資本剰余金が4,883,269千円となっております。
(セグメント情報等)
当社の事業セグメントは、医薬品開発事業のみの単一セグメントであり重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。
(注)1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額は、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失金額で
あるため、記載しておりません。
2.1株当たり当期純損失金額の算定上の基礎は、以下のとおりであります。
3.1株当たり純資産額の算定上の基礎は、以下のとおりであります。
該当事項はありません。