1.当四半期決算に関する定性的情報 ……………………………………………………………………………2
(1)経営成績に関する説明 ……………………………………………………………………………………2
(2)財政状態に関する説明 ……………………………………………………………………………………2
(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明 ……………………………………………………………2
2.四半期財務諸表及び主な注記 …………………………………………………………………………………3
(1)四半期貸借対照表 …………………………………………………………………………………………3
(2)四半期損益計算書 …………………………………………………………………………………………5
(3)四半期財務諸表に関する注記事項 ………………………………………………………………………6
(継続企業の前提に関する注記) ……………………………………………………………………………6
(キャッシュ・フロー計算書に関する注記) ………………………………………………………………6
(株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記) ……………………………………………………6
(セグメント情報等) …………………………………………………………………………………………6
(収益認識関係) ………………………………………………………………………………………………6
(1株当たり情報) ……………………………………………………………………………………………7
(重要な後発事象) ……………………………………………………………………………………………7
3.補足情報 …………………………………………………………………………………………………………8
(1)研究開発活動 ………………………………………………………………………………………………8
1.当四半期決算に関する定性的情報
当第1四半期(2026年1月1日~2026年3月31日)における日本経済は、米国・イスラエルによるイラン攻撃への反撃に伴うホルムズ海峡の封鎖により、原油価格が急上昇し、企業活動の先行きに不透明さが生じています。また、世界経済においても、石油備蓄水準が高くない国家を中心に経済活動の不透明さが高まり、不安定な状況が継続しています。
このような状況下、当社は「未来のがん治療に新たな選択肢を与え、その実績でがん治療の歴史に私たちの足跡を残してゆくこと」をビジョンとし、特に、腫瘍溶解ウイルスOBP-301を中心に研究・開発・ビジネス活動を推進させ、OBP-301販売開始後を見据えた活動を進めています。また、当社は、OBP-301の国内ビジネスを製薬会社モデルで展開することにより、従来のライセンス依存の単一の事業モデルから、製薬会社型とライセンス型の『ハイブリッド型事業モデル』へ移行を進めています。
LINE-1阻害剤OBP-601(censavudine)は、Transposon Therapeutics, Inc.(以下「Transposon社」)とのライセンス契約の下、同社の全額費用負担により臨床試験が実施され、Transposon社のビジネス活動も進んでいます。
当社活動の詳細に関しては、「3.補足情報 (1) 研究開発活動」をご確認ください。
当第1四半期の業績は、売上高は3,090千円(前年同四半期は売上高なし)、営業損失は420,720千円(前年同四半期は営業損失785,202千円)となりました。また、営業外収益として、受取利息3,044千円、為替差益9,443千円、営業外費用として支払利息2,986千円、株式交付費2,158千円を計上した結果、経常損失413,363千円(前年同四半期は経常損失810,789千円)になりました。その結果、四半期純損失414,482千円(前年同四半期は四半期純損失811,653千円)となりました。
当第1四半期会計期間末における資産は、現金及び預金の減少等により4,528,277千円(前事業年度末比0.6%減)となりました。負債は、借入金の増加等により935,185千円(前事業年度末比68.2%増)となりました。純資産は利益剰余金の減少により3,593,091千円(前事業年度末比10.2%減)となりました。
当社の業績は、未だ安定した収入基盤は小さく、OBP-301の販売提携契約に伴うマイルストーン収入の有無や、Transposon社によるLINE-1阻害剤OBP-601の開発イベント達成や同社のIPOやM&Aなどのコーポレートアクションにより発生するマイルストーン収入の有無によって大きく変動します。また、2026年から国内販売開始を目指すOBP-301の製品販売収入も、薬価やマーケット展開などによって大きく変動します。さらに、OBP-301の海外アライアンス契約条件によっても変動します。
したがって、現時点では業績に与える未確定な要素が多いことから、業績予想につきましては適正かつ合理的な数値の算出が困難な状況と考えており、開示を控えさせて頂きます。また、当社は年次での業績管理を行っているため、第2四半期(累計)での業績予想の開示も控えさせて頂きます。
2.四半期財務諸表及び主な注記
(1)四半期貸借対照表
(2)四半期損益計算書
第1四半期累計期間
該当事項はありません。
(キャッシュ・フロー計算書に関する注記)
当第1四半期累計期間に係る四半期キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません。なお、第1四半期累計期間に係る減価償却費は、次のとおりであります。
該当事項はありません。
【セグメント情報】
Ⅰ 前第1四半期累計期間(自 2025年1月1日 至 2025年3月31日)
当社は、創薬事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
Ⅱ 当第1四半期累計期間(自 2026年1月1日 至 2026年3月31日)
当社は、創薬事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
(収益認識関係)
顧客との契約から生じる収益を分解した情報
(単位:千円)
(1株当たり情報)
1株当たり四半期純損失金額及び算定上の基礎は、以下のとおりであります。
(注) 潜在株式調整後1株当たり四半期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、1株当たり四半期純損失金額であるため記載しておりません。
(重要な後発事象)
該当事項はありません。
当社の当第1四半期累計期間における創薬事業の研究開発費は、245,164千円となりました。なお、当第1四半期累計期間における研究開発活動の状況は以下のとおりです。
2026年3月31日現在、研究開発部門は25名在籍しており、これは総従業員数の56.8%に当たります。
2) 研究開発並びにビジネス活動について
当社は、OBP-301の国内ビジネスを製薬会社モデルで展開させ、従来のライセンス依存の単一の事業モデルから、製薬会社型とライセンス型の『ハイブリッド型事業モデル』へ移行を進めています。当社は同方針の下に、研究開発並びにビジネス活動を進めました。
①腫瘍溶解ウイルスOBP-301に関する活動
当社は日本国内でOBP-301の「放射線併用による食道がんPhase2臨床試験(OBP101JP試験)」を完了させ、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、「PMDA」)へ2025年12月に計画通り食道がん治療再生医療等製品として製造販売承認申請を行いました。承認申請後に、「適合性書面調査」及び「GCP 実地調査」を受け、2026年4月に、両調査の結果が『適合』と判断されたことで、OBP-301の原資料から承認申請資料までの信頼性が保証されました。また、2025年12月には、OBP-301の希少疾病用再生医療等製品の指定を受けました。
国内ビジネス面では、2024年2月に富士フイルム富山化学株式会社(以下、「富士フイルム富山化学」)とOBP-301の販売提携契約を締結し、製造元のヘノジェン社から国内でOBP-301の保管などを担う三井倉庫ホールディングス株式会社(以下、「三井倉庫HD」)を経て、医療機関に至るサプライチェーンの整備を進めています。三井倉庫HDとは2025年9月に品質協定書を締結しました。2025年10月には、新薬承認後の出荷に向けたGMP製剤製造をヘノジェン社で行いました。また、2025年4月に再生医療等製品製造販売業者の業許可を取得しました。さらに、2025年4月に、腫瘍溶解アデノウイルスの内視鏡投与に関する特許を日本で成立させました。同特許は、OBP-301に限らずOBP-702や他社の腫瘍溶解アデノウイルスも対象であり、2040年5月まで特許が存続します。
一方、米国ではOBP-301とペムブロリズマブの共同開発体制を構築するために、当社とコーネル大学、並びにコーネル大学とMSD社の間で、2023年12月にそれぞれ医師主導治験契約を締結しました。同契約に基づき、当社とMSD社は、胃がんの2次治療患者を対象としたPhase2医師主導治験の研究開発費を折半して、本臨床試験を進めています。
また、米国のがん研究組織NRGオンコロジーグループにより進められた放射線化学療法併用食道がんPhase1医師主導治験は、2025年1月のASCO- GI(米国臨床腫瘍学会 消化器がんシンポジウム)で中間結果が発表されました。
海外でのビジネス展開に関しては、2024年12月には台湾のMedigen社と台湾での販売権に関するライセンス契約を締結しました。Medigen 社により台湾で上市された後には、当社は Medigen 社へ OBP-301 の最終製品を有償で供給し、併せて Medigen 社から販売額に応じたロイヤリティ収入を得ることになります。今後も、海外でのビジネス展開を進め、OBP-301の国内外に向けたマーケット拡大を行ってゆく方針です。
OBP-301は、組入れが終了した臨床試験も含めて、以下の3つの臨床試験が国内外で進んでいます。
i) 放射線併用食道がんPhase2臨床試験(OBP101JP試験)
ii) 抗PD-1抗体併用2次治療胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験
iii) 放射線化学療法併用食道がんPhase1医師主導治験
i) 放射線併用食道がんPhase2臨床試験(OBP101JP試験)
本試験は2019年4月の「先駆け審査制度」の指定に基づき全国17ヶ所で治験を行い、PMDAへ2025年12月に食道がん治療再生医療等製品として製造販売承認申請を行いました。
当社は、国内承認取得後にOBP-301を円滑に供給するために、ヘノジェン社で2025年10月にウイルスの凝集体を抑制する新処方によって、原薬をバイアルへ充填して製剤化を実施しました。2026年2月には、新処方で製剤化後18ヶ月間の安定性を得たことを確認しています。当社は、有効期間18ヶ月で商用1ロット目を出荷する計画です。さらに、2026年12月期下半期には24ヶ月間の安定性データを確認する計画です。今後も、有効期間を延長させ、OBP-301の在庫管理の柔軟性を高めていきます。
包装・保管及び輸送の物流業務を委託している三井倉庫HDは、再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準である GCTP(Good Gene, Cellular, and Tissue-based Products Manufacturing Practice)に適合した体制を整備しました。ヘノジェン社から出荷された製品は、輸入後に日本国内の三井倉庫HDで保管されます。出荷判定をクリアしたOBP-301は、2024年2月に販売提携契約を締結した富士フイルム富山化学へ出荷され、富士フイルム富山化学が指定した医薬品卸会社を通じて医療現場に提供されます。今後も、上市後のOBP-301の円滑な供給のために、サプライチェーンの整備などを進めていきます。
当社は、日本国内へのOBP-301の出荷に責任を負う製造販売業者に位置付けられます。当社は、2025年4月に再生医療等製品製造販売業者の業許可を取得しました。今後も、「GQP(Good Quality Practice:品質管理の基準)」及び「GVP(Good Vigilance Practice: 製造販売後安全管理の基準)」に適合した体制をさらに強化していきます。
ii) 抗PD-1抗体併用2次治療胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験
「抗PD-1抗体併用2次治療胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験」は、米国コーネル大学が当社の事前合意を得た上で、MSD社へ新たな治験の実施や治験費用の負担を提案し、2023年12月に当社とコーネル大学の契約、コーネル大学とMSD社の契約が締結され、共同開発体制を構築しました。
本治験は、抗PD-1/PD-L1抗体を含む1次治療に抵抗性のある胃がん・胃食道接合部がん患者を対象に、2次治療としてOBP-301と抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用します。現在、当社とMSD社で費用を折半して組入れが進んでいます。
なお、2026年4月にアイスランドで開催された国際腫瘍溶解ウイルス学会で、本治験に先立って組入れが完了したペムブロリズマブ併用の3次治療胃がんPhase2試験の長期生存率に関する結果が、報告されました。
iii) 放射線化学療法併用食道がんPhase1医師主導治験
「放射線化学療法併用食道がんPhase1医師主導治験」は、米国のがん研究組織NRGオンコロジーグループにより、OBP-301と放射線化学療法を併用した際の安全性と有効性の検討を目的として2021年12月から開始され、15例の患者を登録しました。
OBP-301は米国において食道がんのオーファンドラッグ指定を受けており、同指定の下、本治験は実施されています。そのため、補助金の支給や臨床研究費用の税額控除の優遇を受けることができ、さらに、米国においてOBP-301承認後の先発権保護が与えられ、その期間中は市場独占権が得られることになっています。
なお、当社は上記の3つの臨床試験に加えて、肛門及び下部直腸がんに対するPhase2試験など新たな領域でのOBP-301の臨床試験の開始に向けた準備を進めています。
②LINE-1阻害剤OBP-601(censavudine)に関する活動
OBP-601は、2010年から2014年にかけてBristol-Myers Squibb Co.(以下「BMS社」)へライセンスし、抗HIV薬としてBMS社によりPhase2b臨床試験が実施され、OBP-601の既存薬との非劣性が示されました。また、BMS社によって、OBP-601の長期毒性試験、がん原性試験や多くの臨床データが得られましたが、BMS社が戦略変更によりHIV領域から撤退したため、ライセンス契約は終了しました。その後、ブラウン大学(米国)の研究成果から、HIVの核酸系逆転写酵素阻害剤(以下「NRTI」)がレトロトランスポゾンの異所性発現を抑制することが示唆されました。その後の研究により、同作用を持つOBP-601が他のNRTIと比べて脳内移行性が高く、またLINE-1という逆転写酵素を強力に阻害してレトロトランスポゾンの産生を強力に抑制するという特長が確認されました。
このメカニズムに着目してOBP-601を神経難病治療薬へ応用しようと計画していたTransposon社との間で、当社は2020年6月に全世界を対象とした総額3億ドル超のライセンス契約を締結し、同年11月にTransposon社は第1回マイルストーンを達成しています。
Transposon社は、「進行性核上性麻痺(PSP: Progressive Supranuclear Palsy)」とC9 ORFという酵素の異常発現を伴った「筋萎縮性側索硬化症(ALS: Amyotrophic Lateral Sclerosis)及び前頭側頭型認知症(FTD: Frontotemporal Degeneration)」を対象としたプラセボを用いた二重盲検法による2つのPhase2臨床試験を完了し、次相の臨床試験の準備を進めています。また、Transposon社は、OBP-601が炎症性神経損傷を抑制したバイオマーカーの結果などから、アルツハイマー病を対象とした新たな臨床試験を開始する準備を進めています。さらに、米国の医療先端研究計画局(Advanced Research Projects Agency for Health:以下「ARPA-H」)のPROSPR(Proactive Solutions for Prolonging Resilience)プログラムの下で、OBP-601を用いた抗加齢を目的とする研究開発に対し、最大22百万ドルの研究開発支援(以下「アワード」)を受けることが公表されました。本アワードに基づく資金は、研究の進捗及び費用発生に応じて、Transposon社並びに参画する研究機関へARPA-Hから支払われる予定です。なお、アイカルディ・ゴーティエ症候群(AGS: Aicardi-Goutieres Syndrome)を対象にした欧州での単群のPhase2臨床試験の優先順位を引き下げました。
これらのOBP-601に関する臨床試験は、ライセンス契約に基づき全額Transposon社の費用負担で進められています。また、同ライセンス契約に基づき、Transposon社はビジネス活動を行い、第三者である製薬会社などにOBP-601のライセンスを再許諾(サブライセンス)することが可能となっています。サブライセンスが成功した場合には、Transposon社がサブライセンス先から得た収入の一定割合が当社へ支払われます。
i) PSP Phase3臨床試験
PSPを対象としたPhase2臨床試験は2021年11月に1例目への投与が開始され、2022年8月に目標症例数の組入れが完了しました。
現在Transposon社は、第三者へのライセンスなどのビジネス活動と並行してPSPのPhase3臨床試験の開始に向けたEnd of Phase2 meetingを実施するなど、米国食品医薬品局(FDA)とPSPを対象にしたPhase3臨床試験の準備を具体的に進めています。Transposon社は、資金調達完了後に、PSPを対象としたPhase3臨床試験を2026年に開始する計画です。なお、FDAはPSPに対して、2024年5月にOBP-601を迅速承認審査制度であるファストトラック品目に指定しています。
ii) ALS Phase2/3臨床試験
C9ALS/FTDを対象としたPhase2臨床試験は2022年1月に投与が開始されました。2023年3月に目標症例数の組入れが完了し、本試験を終了しました。Transposon社は、2025年1月にFDAとALSに関するEnd of Phase2 meetingを実施しました。また、OBP-601はヒーリーALSプラットフォームに採択されました。Transposon社は、ヒーリーALSプラットフォームを活用して、ALSを対象としたPhase2/3臨床試験を2026年に開始する計画です。
iii) アルツハイマー病Phase2臨床試験
現在Transposon社は、PSPとALSのPhase2臨床試験の結果に基づいた以下の理由により、OBP-601をアルツハイマー病で展開するためにPhase2臨床試験の準備を進めています。OBP-601は、Alzheimer's Drug Discovery Foundation(アルツハイマー病創薬財団、以下「ADDF」)によりアルツハイマー病治療に対して有望であると判断され、Transposon社はADDFから約5百万ドルの投資を受けることになりました。Transposon社は、同資金を活用してアルツハイマー病に対するPhase2試験を2026年に開始する計画です。
iv) AGS Phase2臨床試験
Transposon社は、AGSという小頭症や高度な精神発達遅滞等を呈する遺伝性疾患を対象に、2023年7月にPhase2臨床試験の投与を欧州で開始しました。現在までに、本試験の中止を要するような安全性上の問題は報告されていませんが、Transposon社はOBP-601の開発戦略を見直し、PSPやALSの許可取り試験やアルツハイマー病のPhase2試験の開始を優先するため、AGSの優先順位を引き下げています。
v) 抗加齢
加齢に伴う炎症の増加とLINE-1活性化との関連性が注目され、OBP-601はARPA-Hのアワードに採択されました。健康寿命の延伸を目的に、OBP-601で健やかな加齢を実現できる可能性を活かした研究開発に関して、Transposon社と参画する研究機関へ最大22百万ドルのアワードが支払われます。Transposon社及び研究機関は、今後研究を進めて、将来の臨床応用を目指します。
③次世代腫瘍溶解ウイルスOBP-702に関する活動
OBP-702は、強力な生体内がん抑制遺伝子p53をベクター内に搭載する新規腫瘍溶解ウイルスで、「がん遺伝子治療」と、OBP-301の持つ「腫瘍溶解作用」を組み合わせた2つの抗腫瘍効果を持つ第二世代のウイルス療法です。2025年3月に採択された国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成金事業を活用して、岡山大学消化器腫瘍外科学の研究グループにより、すい臓がんを対象とした医師主導治験の準備を進めています。既に、ゲムシタビン耐性すい臓癌細胞株のマウスモデルを用いた実験においては、PD-L1抗体を併用することでより強い抗腫瘍効果が確認されています。また、がん治療で問題となっているがん組織の間質系細胞(CAF : Cancer Associated Fibroblast)に対しても殺傷効果を示すことが示されており、今後、間質系細胞によって治療が困難と考えられているすい臓がんなどの難治性がんに対する新しい治療法として開発していくことが期待されます。当社は、岡山大学がすい臓がんを対象としたOBP-702の医師主導治験を2026年に開始することを予定しています。
OBP-301の食道がんでの開発の経緯と同様に、岡山大学がOBP-702の臨床における安全性や用法を検討した後に、当社が臨床開発を引き継ぎ、OBP-301との棲み分けを考慮しながら開発を進めていく方針です。
④ウイルス感染症治療薬OBP-2011に関する活動
OBP-2011は、これまでの実験結果によりヌクレオカプシド形成を阻害する新規メカニズムを有する化合物であることが推定されていますが、現段階ではその詳細なメカニズムは解明されていません。OBP-2011はすでに承認されているコロナ治療薬の主なメカニズムであるポリメラーゼ阻害やプロテアーゼ阻害とは異なるメカニズムであることが推察されており、コロナウイルスの様々な変異株に対して効果が左右されないというデータが得られています。しかし、新型コロナ治療薬の承認ハードルが上昇していること、並びに新型コロナ治療薬の複数上市による緊急性の低下などの外部環境の変化や、OBP-301へ経営リソースを集中させるために、開発方針を見直す必要性が生じました。今後は、鹿児島大学と詳細なメカニズム解明を行った上でコロナウイルス以外のRNAウイルスに対する新規適応を検討していく考えです。
⑤がん検査薬OBP-401に関する活動
検査自動化プラットフォームの確立を目的に、OBP-401によって蛍光発光させた血液中で生きているがん細胞の画像学習を進め、AIによる自動判定を目指しています。しかし、画像学習に必要な多くの画像を取得することに、当初計画と比較して時間を要したため開発進捗は遅延しています。なお、OBP-301へ経営リソースを集中させるため、優先順位を引き下げています。
⑥HDAC阻害剤OBP-801に関する活動
2009年にアステラス製薬株式会社から導入したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤であるOBP-801は、各種固形がんを対象とした米国でのPhase1臨床試験で用量制限毒性(DLT:Dose Limiting Toxicity)が発生し、推定有効量までの投与量の増量が不可能となったため、がん領域の開発を中断しました。
一方、新規適応領域である眼科領域では、京都府立医科大学眼科学教室の実験において、緑内障手術を行った際に形成される濾過胞の線維化抑制作用が認められ、2023年4月の日本眼科学会やARVO(視覚と眼科学研究協会学会)で研究結果が発表されました。また、2024年に日本国内で成立した眼科領域に対するOBP-801の用途特許について、2025年10月に同特許の保護範囲を拡張する旨の査定を受けました。なお、OBP-301へ経営リソースを集中させるため、優先順位を引き下げています。
主なパイプラインの開発状況は、以下のとおりです。