1.経営成績等の概況 …………………………………………………………………………………… 2
(1)当期の経営成績の概況 ………………………………………………………………………… 2
(2)当期の財政状態の概況 ………………………………………………………………………… 8
(3)当期のキャッシュ・フローの概況 …………………………………………………………… 9
(4)今後の見通し …………………………………………………………………………………… 11
(5)資本配分に関する基本方針及び当期・次期の配当 ………………………………………… 12
2.経営方針 ……………………………………………………………………………………………… 13
(1)経営の基本方針 ………………………………………………………………………………… 13
(2)目標とする経営指標 …………………………………………………………………………… 13
(3)環境認識と対処すべき課題 …………………………………………………………………… 13
(4)2030年に向けた成長戦略「TOP I 2030」 …………………………………………………… 14
3.会計基準の選択に関する基本的な考え方 ………………………………………………………… 20
4.連結財務諸表及び主な注記 ………………………………………………………………………… 21
(1)連結損益計算書及び連結包括利益計算書 …………………………………………………… 21
(2)連結財政状態計算書 …………………………………………………………………………… 23
(3)連結キャッシュ・フロー計算書 ……………………………………………………………… 24
(4)連結持分変動計算書 …………………………………………………………………………… 25
(5)継続企業の前提に関する注記 ………………………………………………………………… 26
(6)連結財務諸表に関する注記事項 ……………………………………………………………… 26
(単位:億円)
<連結損益の概要(IFRSベース)>
当連結会計年度の売上収益は1兆2,579億円(前年同期比7.5%増)、営業利益は5,988億円(同10.5%増)、当期利益は4,340億円(同12.1%増)となりました。これらには当社が管理する経常的業績(Coreベース)では除外している無形資産の償却費14億円、無形資産の減損損失17億円、事業再構築費用133億円、経営判断による自社開発一括中止費用等164億円、及び事業所閉鎖に伴う固定資産売却益を含む事業所再編費用84億円(収益)が含まれています。
<連結損益の概要(Coreベース)>
当連結会計年度の売上収益は、製商品売上高が増加し、1兆2,579億円(前年同期比7.5%増)となりました。売上収益のうち、製商品売上高は1兆778億円(同8.0%増)となりました。国内製商品売上高は、後発品浸透や薬価改定等の影響を受けたものの、新製品のフェスゴ、ピアスカイ、主力品のバビースモ、エンスプリング、ヘムライブラが伸長し、前年同期を上回りました。海外製商品売上高は、ロシュ向けのヘムライブラ及びアクテムラ輸出が増加したため、前年同期を上回りました。その他の売上収益は、一時金収入が減少したものの、ヘムライブラに関する収入の増加等により1,801億円(同4.3%増)となりました。製商品原価率は、為替影響及び製品別売上構成比の変化等により32.6%と前年同期比で1.3ポイント改善しました。結果、売上総利益は9,065億円(同8.9%増)となりました。
研究開発費は創薬・早期開発への投資や開発プロジェクトの進展に伴う費用の増加等により1,801億円(同1.8%増)、販売費及び一般管理費は諸経費等の増加により1,032億円(同1.0%増)となりました。その他の営業収益(費用)は0億円(前年同期は27億円の収益)となりました。以上から、Core営業利益は6,232億円(同12.1%増)、Core当期利益は9期連続の増益を達成し、4,510億円(同13.6%増)となりました。
一方、昨年1月30日に公表した通期予想に対して、売上収益は、国内及び海外の製商品売上高が好調に推移したことにより、1兆2,579億円と、通期予想を5.7%上回りました。また、製品別の売上構成比の変化等により製商品原価率が32.6%と通期予想比で0.9ポイント改善した一方、研究開発費は1,801億円(通期予想比1.2%増)、販売費及び一般管理費は1,032億円(同2.2%増)と概ね予想通りに推移しました。これらの結果、Core営業利益は通期予想を9.3%上回る6,232億円、Core当期利益は通期予想を10.0%上回る4,510億円となりました。
※Core実績について
当社はIFRS移行を機に2013年よりCore実績を開示しております。Core実績とは、IFRS実績に当社が非経常事項と捉える事項の調整を行ったものであります。なお、当社が非経常事項と捉える事項は、事業規模や範囲などの違いによりロシュと判断が異なる場合があります。当社ではCore実績を、社内の業績管理、社内外への経常的な収益性の推移の説明、並びに株主還元をはじめとする成果配分を行う際の指標として使用しております。
詳細は2026年1月29日付2025年12月期連結決算〔IFRS〕補足資料(以下、「補足資料」という)P.1「IFRS実績からCore実績への調整表」をご覧ください。
<製商品売上高の内訳>
(単位:億円)
[国内製商品売上高]
国内製商品売上高は、後発品浸透及び薬価改定等の影響を受けたものの、新製品及び主力品が伸長し、4,724億円(前年同期比2.5%増)となりました。
オンコロジー領域の売上高は、2,465億円(同0.5%減)となりました。後発品浸透及び薬価改定の影響により、主力品の抗悪性腫瘍剤/抗VEGFヒト化モノクローナル抗体「アバスチン」の売上が減少しました。また、抗悪性腫瘍剤/抗HER2ヒト化モノクローナル抗体「パージェタ」は、本剤を含む配合皮下注製剤である新製品の抗悪性腫瘍剤/抗HER2ヒト化モノクローナル抗体・ヒアルロン酸分解酵素配合剤「フェスゴ」への置き換えが進んだことを主因に売上が大幅に減少しました。一方、「フェスゴ」の売上が大幅に増加したことに加え、2025年3月に発売した抗悪性腫瘍剤/抗CD20/CD3ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「ルンスミオ」が順調に市場浸透したほか、主力品の抗悪性腫瘍剤/微小管阻害薬結合抗CD79bモノクローナル抗体「ポライビー」が堅調に推移しました。
スペシャリティ領域の売上高は、2,258億円(同5.8%増)となりました。後発品浸透及び薬価改定の影響を受けたものの、主力品の眼科用VEGF/Ang-2阻害剤/抗VEGF/抗Ang-2ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「バビースモ」、pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体「エンスプリング」、血液凝固第Ⅷ因子機能代替製剤/抗血液凝固第Ⅸa/Ⅹ因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「ヘムライブラ」の売上が堅調に推移したことに加え、新製品のpH依存的結合性ヒト化抗補体(C5)モノクローナル抗体「ピアスカイ」が好調に市場浸透しました。
一方、昨年1月30日に公表した通期予想に対して、国内製商品売上高は、「ヘムライブラ」、「エンスプリング」、「バビースモ」等の上振れにより、4,724億円(通期予想比2.1%増)となりました。
[海外製商品売上高]
海外製商品売上高は6,054億円(前年同期比12.8%増)となりました。ロシュ向け輸出については、「ヘムライブラ」、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ」が前年同期比で伸長しました。
一方、昨年1月30日に公表した通期予想に対して、海外製商品売上高は、「アクテムラ」、「ヘムライブラ」のロシュ向け輸出の増加等による上振れにより6,054億円(通期予想比9.0%増)となりました。
当社グループは、医療用医薬品に関して国内外にわたる積極的な研究開発活動を展開しており、国際的に通用する革新的な医薬品の創製に取り組んでいます。国内では、中外ライフサイエンスパーク横浜において創薬研究を行う一方、浮間研究所において工業化技術の研究を行っています。また、海外では、中外ファーマ・ユー・エス・エー・インコーポレーテッド(米国)、中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド(英国)、日健中外製薬有限公司(中国)、台湾中外製薬股份有限公司(台湾)が医薬品の開発・申請業務を、中外ファーマボディ・リサーチ・ピーティーイー・リミテッド(シンガポール)が創薬研究に取り組んでいます。
当連結会計年度におけるCoreベースの研究開発費は1,801億円(前年同期比1.8%増)、売上収益研究開発費比率は14.3%となりました。
2025年1月1日から2025年12月31日までの研究開発活動の進捗状況は以下のとおりです。
「がん領域」
・抗悪性腫瘍剤/抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「RG7446」(製品名:「テセントリク」)は、2025年2月に切除不能な胞巣状軟部肉腫に対して、同年9月に再発または難治性の節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型に対して、適応拡大の承認をそれぞれ取得しました。加えて、同年5月に切除不能な胸腺がんを対象として適応拡大の承認申請を行い、同年12月に承認を取得しました。また、第Ⅲ相国際共同治験「CONTACT-02試験」の結果に鑑み、前立腺がん[二次治療](カボザンチニブ併用)を対象とする国内における開発を中止しました。さらに、これまで実施された臨床試験結果に鑑み、早期乳がん(周術期)を対象とする開発を、第Ⅲ相国際共同治験「IMpower030試験」の結果に鑑み、非小細胞肺がん(周術期)を対象とする開発をそれぞれ中止しました。
・抗悪性腫瘍剤/ALK阻害剤「AF802/RG7853」(製品名:「アレセンサ」)は、2025年6月に、ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の固形がんを対象として適応拡大の承認申請を行いました。
・抗悪性腫瘍剤/抗CD20/CD3ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「RG7828」(製品名:「ルンスミオ」)は、2025年5月に、再発または難治性のアグレッシブB細胞性非ホジキンリンパ腫(「ポライビー」との併用)を対象として適応拡大の承認申請を行いました。
・抗悪性腫瘍剤/抗VEGF(血管内皮増殖因子)ヒト化モノクローナル抗体「RG435」(製品名:「アバスチン」)は、2025年8月に、神経線維腫症Ⅱ型を対象として適応拡大の承認申請を行いました。また、第Ⅲ相臨床試験「BEAT-SC試験」の結果に鑑み、小細胞肺がん[一次治療](「テセントリク」との併用)を対象とする開発を中止しました。
・抗CD20/CD3バイスペシフィック抗体「RG6026」は、2025年8月に、再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、及び再発または難治性マントル細胞リンパ腫を対象として国内第Ⅱ相臨床試験を開始しました。
・KRAS G12C阻害剤「RG6330」は、2025年10月に、非小細胞肺がん[一次治療]を対象として第Ⅰb/Ⅱ相臨床試験を開始しました。
・PI3Kα阻害剤「RG6114」は、2025年7月に、PIK3CA遺伝子変異陽性乳がん(パルボシクリブ、フルベストラント併用)を対象として国内第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を開始しました。
・「MINT91」は、2025年4月に、固形がんを対象として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
・pan-KRAS阻害剤「AUBE00」は、2025年6月に、固形がんを対象として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
・抗TIGITヒトモノクローナル抗体「RG6058」は、第Ⅲ相国際共同治験「SKYSCRAPER-01試験」、「SKYSCRAPER-03試験」、「SKYSCRAPER-07試験」、及び「SKYSCRAPER-14試験」の結果に鑑み、非小細胞肺がん[一次治療]、非小細胞肺がん(ステージⅢ)、食道がん(いずれも「テセントリク」との併用)、及び肝細胞がん[一次治療](「テセントリク」、「アバスチン」との併用)を対象とする開発をそれぞれ中止しました。
・抗HER2/CD3バイスペシフィック抗体「RG6194」は、戦略上の理由から、固形がんを対象とする開発を中止しました。
・RAS阻害剤「LUNA18」は、これまでに得られているデータとポートフォリオの状況を勘案し、自社開発を中止する経営判断をしました。
・抗CD137アゴニストスイッチ抗体「STA551」は、これまでに得られているデータとポートフォリオの状況を勘案し、自社開発を中止する経営判断をしました。
・抗潜在型TGF-β1モノクローナル抗体「SOF10」は、これまでに得られているデータとポートフォリオの状況を勘案し、自社開発を中止する経営判断をしました。
・抗CLDN6/CD3/CD137トリスペシフィック抗体「SAIL66」は、これまでに得られているデータとポートフォリオの状況を勘案し、自社開発を中止する経営判断をしました。
「免疫疾患領域」
・免疫抑制剤「セルセプト」は、2025年3月に、難治性のネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す場合)を対象として公知申請を行い、同年9月に適応拡大の承認を取得しました。
・抗TL1A抗体「RG6631」は、2025年4月に潰瘍性大腸炎を対象として、同年9月にクローン病を対象として、第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
・当社は、IgA腎症を対象として国内第Ⅲ相臨床試験を実施中のエンドセリン/アンジオテンシンⅡ受容体二重拮抗薬「スパルセンタン」について、2025年11月に、レナリスファーマ株式会社の完全子会社化を通じて、日本、韓国、台湾における独占的な開発・販売権を取得しました。
「神経疾患領域」
・ウイルスベクター製品「RG6356/SRP-9001」(製品名:「エレビジス」)は、2025年5月に、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(エクソン8及び/またはエクソン9の一部または全体の欠失変異を有さず、抗AAVrh74抗体が陰性である3歳以上8歳未満の歩行可能な方)の治療を目的とした再生医療等製品として国内で条件及び期限付承認に該当する製造販売承認を取得しました。
・抗アミロイドベータ/TfR1融合蛋白「RG6102」は、2025年11月に、アルツハイマー病を対象として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
・pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体「SA237/RG6168」(製品名:「エンスプリング」)は、2025年4月に、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象として第Ⅱ相臨床試験を開始しました。
「血液疾患領域」
・血液凝固第Ⅷ因子機能代替製剤/抗血液凝固第Ⅸa/X因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「ACE910/RG6013」(製品名:「ヘムライブラ」)は、2025年6月に、Ⅲ型フォン・ヴィレブランド病を対象として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
・pH依存的結合性ヒト化抗補体(C5)モノクローナル抗体「SKY59/RG6107」(製品名:「ピアスカイ」)は、ロシュが海外で実施した臨床試験の結果に鑑みて、鎌状赤血球症を対象とする開発を中止したことを受け、パイプラインから除外しました。
「眼科領域」
・眼科用VEGF/Ang-2阻害剤/抗VEGF/抗Ang-2ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「RG7716」(製品名:「バビースモ」)は、2025年5月に、脈絡膜新生血管を伴う網膜色素線条に対する適応拡大の承認を取得しました。また、同年5月に、非増殖糖尿病網膜症を対象として国内第Ⅲ相臨床試験を開始しました。
「その他の領域」
・アンジオテンシノーゲンに対するRNAi治療薬「RG6615」は、2025年11月に、高血圧症を対象として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
・抗潜在型ミオスタチンスイーピング抗体「GYM329/RG6237」は、2025年5月に、肥満症を対象として第Ⅱ相臨床試験を開始しました。
・抗補体C1sリサイクリング抗体「RAY121」は、2025年3月に、第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
・抗IL-8リサイクリング抗体「AMY109」は、これまでに得られているデータとポートフォリオの状況を勘案し、自社開発を中止する経営判断をしました。
・「BRY10」は、これまでに得られているデータに鑑み、慢性疾患を対象とする開発を中止しました。
※本項(1)において、金額は億円未満を四捨五入しております。また、増減及び%は億円単位で表示された数字で計算しております。
当連結会計年度末における純営業資産(NOA)は前連結会計年度末に比べ1,627億円増加し、1兆1,103億円となりました。うち、純運転資本は営業債務が増加した一方で、営業債権の増加及び未収入金の増加等により前連結会計年度末に比べ783億円増加し、5,270億円となりました。また、長期純営業資産は宇都宮工場におけるバイオ原薬製造棟(UT3)や注射剤棟(UTA)への投資、無形資産の増加等により前連結会計年度末から844億円増加し、5,833億円となりました。
次項「(3)当期のキャッシュ・フローの概況」で示すとおり、有価証券や有利子負債を含むネット現金は前連結会計年度末に比べ166億円減少し、9,797億円となりました。その他の営業外純資産は主にリース負債の増加により前連結会計年度末から218億円減少し、△643億円となりました。
これらの結果、純資産合計は前連結会計年度末に比べ1,242億円増加し、2兆257億円となりました。
※純営業資産(NOA)及び純資産について
連結財政状態計算書は国際会計基準第1号「財務諸表の表示」に基づいて作成しております。一方で、純営業資産(NOA)及び純資産は、連結財政状態計算書を内部管理の指標として再構成したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、純営業資産(NOA)及び純資産にはCore実績のような除外事項はありません。
詳細は補足資料P.8「財政状態」をご覧ください。
※純営業資産(NOA)について
純営業資産(NOA:Net Operating Assets)は金融取引や税務上の取引とは独立に当社グループの業績を評価することを可能としております。純営業資産は純運転資本及び有形固定資産、使用権資産、無形資産等を含む長期純営業資産から引当金を控除することで計算しております。
※本項(2)において、金額は億円未満を四捨五入しております。また、増減は億円単位で表示された数字で計算しております。
(単位:億円)
営業利益から、営業利益に含まれる減価償却費などのすべての非現金損益項目及び純営業資産に係るすべての非損益現金流出入を調整した調整後営業利益は、6,515億円(前年同期比11.4%増)となりました。
調整後営業利益から純運転資本等の増加797億円や有形固定資産の取得による支出763億円等により、営業フリー・キャッシュ・フローは4,521億円(同8.4%減)の収入となりました。純運転資本等の増加要因は前項「(2)当期の財政状態の概況」に記載したとおりです。
営業フリー・キャッシュ・フローから法人所得税1,911億円を支払ったこと等により、フリー・キャッシュ・フローは2,733億円(同29.3%減)の収入となりました。
フリー・キャッシュ・フローから配当金の支払2,994億円等を調整したネット現金の純増減は166億円の減少となりました。
また、有価証券及び有利子負債の増減を除いた現金及び現金同等物は1,136億円減少し、当連結会計年度末残高は4,266億円となりました。
※フリー・キャッシュ・フロー(FCF)について
連結キャッシュ・フロー計算書は国際会計基準第7号「キャッシュ・フロー計算書」に基づいて作成しております。一方で、FCFは、連結キャッシュ・フロー計算書を内部管理の指標として再構成したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、FCFにはCore実績のような除外事項はありません。
詳細は補足資料P.9「キャッシュ・フロー」をご覧ください。
当社の株主帰属持分比率 :当社の株主持分/総資産
時価ベースの当社の株主帰属持分比率 :株式時価総額/総資産
インタレスト・カバレッジ・レシオ :キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
(注3)キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
(注4)利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払を使用しております。
※本項(3)において、金額は億円未満を四捨五入しております。また、増減及び%は億円単位で表示された数字で計算しております。
為替レートは1スイスフラン=184円、1ユーロ=179円、1米ドル=151円、1シンガポールドル=119円を想定しております。
[売上収益]
売上収益は1兆3,450億円(前年同期比6.9%増)と増収を見込んでおります。
このうち、国内製商品売上高につきましては、薬価改定及び後発品浸透の影響による売上高の減少等の一方、新製品のルンスミオや主力品の数量伸長により、4,980億円(同5.4%増)と増収を見込んでおります。
海外製商品売上高につきましては、NEMLUVIOやヘムライブラの伸長等の一方、アクテムラの減少等により、6,020億円(同0.6%減)と前年同期と同水準を見込んでおります。
その他の売上収益は、2,450億円(同36.0%増)となる見通しです。このうちロイヤルティ及びプロフィットシェア収入は、第三者導出品やヘムライブラに関する収入の増加により2,172億円(同25.8%増)となる見込みです。その他の営業収入は、一時金収入の増加により、278億円(同270.7%増)を見込んでおります。
[Core営業利益、Core EPS]
上記の売上収益の見通しに続き、製品別売上構成比の変化等により、製商品原価率は前年同期比2.3ポイントの上昇となる34.9%を想定しており、売上総利益は9,615億円(前年同期比6.1%増)となる見通しです。
研究開発費は創薬・早期開発への投資や開発プロジェクトの進展に伴う費用の増加等により1,900億円(同5.5%増)、販売費及び一般管理費は前年同期と同水準の1,020億円(同1.2%減)を見込んでおります。
これによりCore営業利益は6,700億円(同7.5%増)、Core当期利益は4,850億円(同7.5%増)となる見通しです。また、Core EPSは295.00円(同7.7%増)を見込んでおります。
※本項(4)において、金額は億円未満を四捨五入しております。また、増減及び%は億円単位で表示された数字で計算しております。
当社は、「革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献する」というミッションのもと、患者さんにとって真に価値あるソリューションを提供し、株主に安定的なリターンを提供できるよう、資本を適切に配分してまいります。
共有価値創造に向けての資本配分
1.革新的な医薬品の創出及び提供
当社は、独自のサイエンス力と技術力を核とした研究開発や高品質な製品・治験薬を安定的に供給する為の生産設備など、革新的な医薬品の創出及び提供に向けて資本を適切に配分します。
2.価値創造エンジンの拡大
創薬基盤強化による価値創造エンジンの拡大に向けて、オープンイノベーションを含む戦略的投資に積極的に取り組みます。
3.その他の投資機会
地球環境保全を始めとする社会課題の解決や当社の持続的成長に資するその他の投資機会も適切に評価します。
株主還元
当社は、戦略的な投資資金需要や業績見通しを勘案した上で、Core EPS対比平均して45%の配当性向を目処に、株主の皆様へ安定的な配当を行うことを目標といたします。
2025年度の業績は、Core当期利益は9期連続の増益を達成し、Core EPSで前年対比13.6%の増加となりました。
こうした好業績を反映し、「安定的な配当」「Core EPS対比平均して45%の配当性向を目処」という当社方針に準じ、当期の期末配当金は1株当たり147円(普通配当72円、創業100周年記念配当75円)を予定しております。この結果、年間配当金は1株当たり272円(普通配当122円、創業100周年記念配当150円)となり、Core配当性向は99.3%(5年平均で54.9%)となります。
次期の配当予想につきましては、1株当たり年間132円、うち中間配当金66円を予想値といたします。これにより、2026年の予想Core配当性向は44.7%(5年平均で54.7%)となります。
当社グループは、世界有数の製薬企業であるロシュとの戦略的アライアンスのもと、「革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献する」ことをMission(存在意義)とし、「患者中心の高度で持続可能な医療を実現する、ヘルスケア産業のトップイノベーター」となることをEnvisioned Future(目指す姿)に掲げています。事業活動は、当社グループのCore Values(価値観)である「患者中心」、「フロンティア精神」、「誠実」に沿って推進しています。
経営の基本方針は、社会との共有価値を創造し、社会とともに発展することです。この方針に基づき、患者中心の高度で持続可能な医療の実現に向けた価値創造モデルを策定し、2024年には重要課題(マテリアリティ)を総合的に見直しました。この結果、重点的に取り組むべき16項目を特定し、評価にあたっては、「環境や社会が企業に与える影響(財務マテリアリティ)」と、「企業活動が環境や社会に与える影響(インパクトマテリアリティ)」の両面から精査しています。
ロシュとの戦略的アライアンスに加え、独自のサイエンス力と技術力を生かし、革新的創薬を柱とするイノベーションに集中することで、ESGやSDGsに代表される社会課題解決をリードする、世界のロールモデルを目指しています。これらの取り組みは、社会全体の持続性向上に寄与するとともに、当社グループの長期的な発展を支える基盤になると確信しています。
当社グループはイノベーションの創出による企業価値の向上を重視し、革新的な新薬の創出に優先的に経営資源の配分を行っています。長期にわたる投資効率の指標としてCore ROICを重点的に管理するとともに、短中期的にも安定的な利益成長を達成できるよう、機動的で柔軟な事業運営に努めています。また、株主が提供した自己資本に対する収益性を測るROEも重要な指標であると考え、Core ROICを基盤としつつ、ROEも重視することで、事業価値及び株主価値の最大化をともに追求していく方針です。個別の開発テーマ等の投資判断におきましては、資本コストを踏まえた投資価値評価を行い、収益性と効率性を重視した意思決定を行っています。
当社は、2021年に成長戦略「TOP I 2030」(後述)を策定し、「R&Dアウトプット倍増」「自社グローバル品毎年上市」という目標の達成を目指して取り組んでいます。「TOP I 2030」の推進にあたり、中期(3年)経営計画を廃止し、長期目標からバックキャストして現状とのギャップを埋めるための中間(3~5年後)目標を中期マイルストンとして設定・管理しています。これにより、計画の進捗や環境変化に応じてアジャイルかつ柔軟に軌道修正を図りながら、長期的な目標達成を目指しています。中期マイルストンの進捗や研究開発パイプラインの見通しの説明を通じて中長期的な事業活動の進捗の状況を開示し、その達成に向けた道筋を示すとともに、引き続き、単年度業績予想の公表や各説明会等の場で経営状況を説明し、当社の掲げる経営戦略の進捗を適時報告してまいります。
世界には、未だ治療法のない疾患が数多くあります。加えて、世界人口の増加と各国における高齢化進展に伴い、医薬品への期待・ニーズは一層高まっています。また、ライフサイエンスや生成AI等のデジタル技術の飛躍的な進歩によって、異業種も含めた医療課題解決に向けたイノベーション創出機会が拡大しています。一方、各国において医療費等の社会保障費増加により財政が逼迫し、薬剤費を含む医療費の抑制政策はますます厳しくなり、持続可能な医療の実現が世界共通の課題となっています。限られた資源のもとで高度かつ持続可能な医療を実現するため、「真に価値あるソリューションだけが選ばれる」VBHC(Value Based Healthcare)の流れは着実に加速しています。また、デジタルをはじめとする多様なプレーヤーがヘルスケア領域に参入することで、既存業界の枠を超えた競争もこれまで以上に熾烈化してきています。加えて、国際政情不安による地政学リスクの増加、エネルギー価格、インフレ等による事業運営の不確実性の高まりとともに、地球環境保全や情報セキュリティ対策、AI(人工汎用知能)等の加速度的な技術革新への対応等、事業運営にあたり取り組むべき課題自体も広範になっております。
そのような中、革新的な医薬品の提供を使命とする私たちの最重要課題は、「イノベーションの追求」であると考えています。患者さん一人ひとりにとって最適な医療の実現に向けて、新たな治療ターゲットの探索や創薬技術のさらなる革新により、アンメットメディカルニーズに応える新薬の創出が求められます。さらに、ビッグデータやAIなどのデジタル技術の進化を柔軟に取り入れ、従来の創薬力にとどまらない能力を獲得・強化することが競争優位性を確保する鍵となります。また、グローバル規模での財政圧力の増加によって製薬企業の経営環境が厳しさを増す中、限られた資源をイノベーションに集中投資できる体制への変革が一層求められています。
当社グループは、独自のサイエンス力と技術力、ロシュとの戦略的アライアンスを基盤として、国内トップクラスの成長を実現してまいりました。ロシュの充実したパイプラインにより日本市場における安定した収益基盤を確保しながら、自社創製品の後期開発や販売ではロシュのグローバル・プラットフォームを活用する、高い生産性を実現するビジネスモデルにより、自社創薬に資源を集中し、革新的な研究開発プロジェクトを連続的に創出しています。その結果、これまで6品目/9つのプロジェクトで当社創製医薬品(アクテムラ、アレセンサ、ヘムライブラ、エンスプリング、ネモリズマブなど)が米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)から「画期的治療薬(Breakthrough Therapy)*」に指定されるなど、当社グループの創薬力は世界的に高い評価を受けています。
今後も、革新的新薬をいち早く創出・患者さんにお届けすることで、当社の企業価値向上と社会課題解決を目指してまいります。
* 画期的治療薬(Breakthrough Therapy):重篤または致命的な疾患や症状に対し、既存治療を上回る改善が期待される治療薬候補
当社グループは、ミッションステートメントに掲げたEnvisioned Future(目指す姿)の実現を目指し、2030年に到達すべきトップイノベーター像を具現化するとともに、その実現に向けた成長戦略「TOP I 2030」を策定し、2021年から展開しています。2024年7月にはこれまでの進捗と成果について振り返り、戦略を精緻化しました。
2030年トップイノベーター像
1)「世界の患者さんが期待する」
世界最高水準の創薬力を有し、世界中の患者さんが「中外なら必ず新たな治療法を生み出してくれる」と期待する会社
2)「世界の人財とプレーヤーを惹きつける」
世界中の情熱ある人財を惹きつけ、ヘルスケアにかかわる世界中のプレーヤーが「中外と組めば新しい何かを生み出せる」と想起する会社
3)「世界のロールモデル」
サステナビリティを事業活動の中心に据え、社会課題解決をリードする企業として世界のロールモデルである会社
「TOP I 2030」の二つの柱は、「世界最高水準の創薬の実現」と「先進的事業モデルの構築」です。
独自のサイエンス力と技術力を駆使して数々の革新的新薬を生み出してきた当社は、今後さらに創薬力を大きく向上させ、世界のアンメットメディカルニーズに応えるソリューションを継続的に世に送り出せる体制構築・強化を目指します。具体的には、R&Dアウトプットを2030年までの10年間で2倍に拡大し、革新的な自社開発グローバル品を毎年上市できる会社を目指します。
そして、環境変化や技術進化を踏まえた先進的事業モデルの構築にも取り組んでまいります。特にデジタルを活用したプロセスや価値創出モデルの抜本的な再構築によって、バリューチェーン全体にわたる生産性の飛躍的向上と、一人ひとりの患者さんにとっての価値・製品価値の拡大を目指してまいります。
「TOP I 2030」では、戦略の二本柱を実現するための具体策として、「創薬」「開発」「製薬」「Value Delivery」の各バリューチェーンとそれを支える「成長基盤」を合わせた「5つの改革」を掲げています。
①創薬改革
創薬においてはR&Dプリンシプルに基づき、低分子・抗体など既存技術の革新に加え、中分子など新たなモダリティへの挑戦を通じて、従来は困難とされてきた標的へのアプローチや、現状の技術では対応困難な作用機序の実現を目指しています。また、有効性・安全性・DMPK*1・物性などあらゆる面で妥協のない高品質な開発候補分子の創出に取り組むことで、臨床開発における高い成功確率の実現に繋げてまいります。
私たちには国内アカデミアとのコラボレーションによって多くの医薬品を創製してきた歴史があり、現在は国内外のアカデミアやスタートアップとの連携にも積極的に取り組んでいます。2024年1月からは米国を拠点とするコーポレートベンチャーキャピタルとして中外ベンチャー・ファンド・エルエルシーも活動を開始し、自社単独での創薬にこだわるのではなく、外部の技術や標的をより積極的に探索し、自社の強みと融合させることで、創薬機会の拡大を目指します。未解決の医療ニーズに応え、治癒・早期介入・予防につながる革新的な創薬を追求し、患者さんのQOL向上に引き続き貢献してまいります。
*1:生体内における薬剤の挙動のこと(薬物代謝/薬物動態)
②開発改革
「TOP I 2030」の取り組みが進むにつれ、臨床へ移行するプロジェクトが増加していきます。臨床開発力とヒト予測力*2の融合による適切・迅速なGo/No-Go判断を行い、医薬品として実用化できる可能性が高いと判断された時点で、複数の適応症で同時開発を進め、プロジェクト全体の価値の早期最大化を目指します。また、より早期の段階からTrue endpoint*3の実証に取り組み、後期開発に繋げることで患者さんへの提供価値を最大化します。
後期開発においてはデジタル技術やリアルワールドデータ(RWD)を活用し、臨床試験のあり方そのものを見つめ直すことで、業界をリードする新規価値の創出と更なるオペレーションモデルの変革を図っています。さらにはロシュとの協働を通じて、開発戦略や試験計画への提言を行うことで成功確率の向上に寄与し、グローバルでの製品価値最大化にも貢献していきます。
これらの取り組みにより、プロジェクトの価値最大化と生産性向上を追求してまいります。
*2:ヒトの身体の中での薬の動態や生体反応をモデリング&シミュレーションすること
*3:患者さんのQOL向上に寄与する真の価値
③製薬改革
「R&Dアウトプット倍増」の目標に合わせて、中分子を始めとする新たな創薬アイディアを医薬品として患者さんへ届けるために、世界水準の製薬技術を追求します。創薬・早期開発~製薬の機能間連携を今まで以上に強化し、高活性かつ薬剤化することの難易度が極めて高い化合物の原薬・製造・分析技術を確立することで、生産体制を整えていきます。抗体分野においてもさらなる技術振興に取り組むことで、臨床開発品の選定から治験申請までの期間を短縮し、開発のスピードアップを実現します。
生産においては、デジタルやロボティクス活用を含めた生産技術力の強化によって効率化を図ると同時に、災害や地政学リスクに備え、頑健で競争力のある供給体制の構築に注力しています。スマートファクトリーの実現に向けた各種取り組みと、上市後CMO*4など外部パートナーとの協働を通じたデュアルサイト戦略を基本とし、必要な設備投資にも積極的に取り組むことで、安定供給とグローバル水準の品質実現を目指してまいります。
*4:医薬品製造受託機関(Contract Manufacturing Organization:CMO)
④Value Delivery改革
Value Delivery機能においては、これまで以上に「患者さん中心の最適な治療選択に貢献する迅速なエビデンス創出」と「革新的な顧客エンゲージメントモデル確立による高度な価値提供」を追求します。具体的には、ロシュやアカデミアとの協働を通じて質の高い臨床研究と製造販売後調査を実施し、市販後早期に価値の高いエビデンスを提供することを目指しています。また、非臨床・トランスレーショナルリサーチの知見を活用し、副作用リスクの予測や重篤化回避に取り組むなど、個々の患者さんに寄り添った適正使用の取り組みを推進しています。
新たな顧客エンゲージメントモデルの確立においては、顧客との接点に劇的な変化が起こっている環境を踏まえ、リアル・リモート・デジタルを組み合わせたマルチチャネル戦略を展開しています。今後さらに多様化する顧客のニーズに合わせ、柔軟なアプローチを選択できる体制を構築し、価値提供の最適化を図ってまいります。
組織の効率化に向けては、優先的に資源投入すべき業務の洗い出しと、成長・新規領域への資源シフトを進めており、それを実現するために、成熟品を中心とした第三者への譲渡など、スリム化も継続して検討していきます。また、デジタル活用やアウトソーシング・業務集約など、これまでの慣習・プロセスに捉われない抜本的な変革を進めてまいります。
⑤成長基盤改革
各バリューチェーンにおける改革と並行して、イノベーションの創出と成長戦略の実現を支える「全社基盤」として、特に下記5つの領域を重点分野として継続強化に取り組んでまいります。
「人・組織」:
経営戦略に基づいた人財マネジメント方針の徹底を通じて、人的資本の強化を進めていきます。年齢・属性に拘わらずチャレンジを後押しする人事制度の運用を徹底するとともに、社員一人ひとりのキャリア開発を含めた自律的な学び/成長の支援、デジタル人財やサイエンス人財など、戦略遂行上の要となる高度専門人財の獲得や育成に注力します。また、イノベーションを生み出す組織風土構築に向けたDE&Iの推進や、全従業員の健康を促進する施策などについてもより高いレベルを目指していきます。
「デジタル」:
CHUGAI DIGITAL VISION2030で掲げた「デジタル技術によって中外製薬のビジネスを革新し、社会を変えるヘルスケアソリューションを提供するトップイノベーターになる」に、継続して取り組みます。具体的には、デジタルを活用した革新的な新薬創出と全てのバリューチェーンの生産性向上に向け、各機能における最重要課題の解決に向けた共創の取り組みを開始しています。
また、デジタル人財育成の強化及びビジネス価値向上に繋がるIT基盤の強化などを継続して推進し、イノベーション創出を支える全社基盤の構築を目指してまいります。
「サステナビリティ・環境」:
サステナビリティを事業活動の中心に据えた上で、高い目標である中期環境目標2030の達成を目指して努力を継続する事により、社会への環境負荷軽減を目指します。具体的には、CO2排出量やエネルギー消費量、フロン類使用量などの削減による「気候変動対策」、廃棄物排出量や水消費量の削減による「循環型資源利用」、有害廃棄物排出量の削減を通じた「生物多様性保全」などに継続して取り組んでいきます。また、環境に加えて、ガバナンス向上やそのための情報開示の充実なども進めてまいります。
「クオリティ」:
製品、情報、プロセスの質とそれを実現する人財により世界をリードし、中外クオリティを社外に対しても訴求・浸透させていきます。そのために、患者さんの期待に応える製品・サービスを確実に提供するとともに、質と効率を両立する先進的手法の獲得、パートナーとの協働を推し進めます。また、それら全てのベースとなる「クオリティカルチャー」を全てのバリューチェーンにおいて浸透させていきます。
「PHCソリュ―ション*5」:
患者さんのニーズは多様かつ高度化しており、革新的医薬品の創出と提供においては、その価値証明や治療効果を最大化するために、病態や治療効果を精緻に診断・測定することで、個々の患者さんに最適な治療を可能とする試みが今後ますます重要となっていきます。
インサイトビジネスの取り組みを通じて得られた知見を基に、PHCソリューションでは、医薬品価値証明の高度化及び最大化のためのグローバル提供体制の確立を目指しています。
*5:病態や治療効果を精緻に診断・測定することで、個々の患者さんに最適な治療を可能とするSaMD(Software as a Medical Device)/バイオマーカー等の製品・サービス
3.会計基準の選択に関する基本的な考え方
当社グループは国内外において革新的な新薬を提供することを目指し、国外においても医薬品の販売や研究開発活動を実施し、国際的な事業活動を行っております。こうした状況を鑑み、投資家の皆様の利便性の観点から財務情報の国際的な比較可能性の向上を図るべく、2013年12月期第1四半期連結会計期間から国際会計基準(IFRS)を適用しております。
該当事項はありません。
①重要な会計方針等
この連結財務諸表は、日本(東京)に所在し、東京証券取引所に上場(証券コード:4519)している中外製薬株式会社及びその子会社の連結財務諸表です。この連結財務諸表は、2026年1月29日に取締役会によって承認されております。
ロシュ・ホールディング・リミテッドはスイス証券取引所に上場し、国際会計基準(以下、「IFRS」という)に準拠し業績を開示しているロシュ・グループの親会社です。当社グループはロシュとの戦略的アライアンスの締結により2002年10月よりロシュ・グループの主要なメンバーになっております。ロシュ・ホールディング・リミテッドは、当社株式の発行済株式総数のうち59.89%(発行済株式総数から自己株式を控除したベースでは61.10%)を所有しております。
当社グループは、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。以下、連結財務諸表規則)第1条の2第1号に定める指定国際会計基準特定会社の要件を満たすことから、同第312条の規定によりIFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。
連結財務諸表は当社の機能通貨である日本円で表示し、百万円未満を四捨五入しております。公正価値による測定が要求されている一部の項目を除き、測定は取得原価に基づいております。
連結財務諸表の作成にあたっては、収益、費用、資産、負債及び偶発事象に係る報告金額に影響を与える判断、見積り及び前提の設定を行うことを経営者に求めております。これらの見積りは実際の結果と異なる可能性があります。見積りやその基礎をなす前提は、過去の経験や多くの要因に基づいて設定しており、継続的に見直しを行っております。見積りの変更による影響は、見積りの変更が行われた会計期間に認識しております。
当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える判断、見積り及び前提に関する情報は、原則として前連結会計年度と同様であります。
当社グループの連結財務諸表において適用する重要な会計方針は、前連結会計年度において適用した会計方針と同一であります。
なお、一部の基準書において軽微な変更がありましたが、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響はありません。
連結財務諸表の承認日までに新設または改訂が行われた重要な基準書のうち、当社グループが早期適用していないものは以下のとおりです。
IFRS第18号「財務諸表における表示及び開示」
IFRS第18号は、損益計算書に営業区分、投資区分、財務区分の3区分を新たに導入し、営業利益、財務及び法人所得税控除前利益、当期純利益の表示を求めています。
また、経営者が定義した業績指標について、その計算方法と選定理由及び調整表の開示を求めています。
本基準は2027年1月1日以降に開始する事業年度から強制適用され、当社グループは本基準を2027年度から適用予定ですが、当社グループに対する本基準の影響は調査中です。
その他の2026年度以降に適用となる新たな基準書による影響を調査中ですが、2026年度において当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼすものはないと判断しております。
当社グループは、単一の医薬品事業に従事し、複数の事業セグメントを有しておりません。当社グループの医薬品事業は、新規の医療用医薬品の研究、開発、製造、販売活動から成り立っております。これらの機能的な活動は事業として統合した運営管理を行っております。
③その他の営業収益(費用)
その他の営業収益(費用)の内訳は以下のとおりです。
当連結会計年度において、その他の営業収益のうち、主なものは事業所閉鎖に伴う固定資産売却益8,708百万円です。
前連結会計年度において、その他の営業収益のうち、主なものは製造販売権等の譲渡収益2,289百万円です。
基本的1株当たり利益
希薄化後1株当たり利益
希薄化効果を有さないとして、希薄化後加重平均普通株式数の算定から除外されているストック・オプションはございません。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、当社グループの主要な事業活動である医薬品の研究開発・製造・販売活動から生じます。営業活動による現金創出額は、営業利益に有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費や減損損失等の非資金損益項目の調整を行う間接法によって計算しております。営業キャッシュ・フローには、当社グループのすべての活動によって生じる法人所得税の支払を含んでおります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは主に有形固定資産及び無形資産への投資です。また、有価証券等への投資、投資から得られる受取利息及び受取配当金を含んでおります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは主に配当及びリース負債の支払です。
重要な非資金取引
当連結会計年度及び前連結会計年度において、重要な非資金取引はありません。
⑥関連当事者
日本における研究開発型製薬企業のリーディングカンパニーとなるべく、当社はロシュと戦略的アライアンスの契約を締結しております。この契約に基づき、当社は2002年10月、ロシュの日本における医薬品事業の子会社であった日本ロシュと合併し、合併後は中外製薬としてロシュ・グループの一員となりました。
当社はロシュとの間で、戦略的アライアンスに関する主要な契約として、以下を合意しております。
アライアンス基本契約(Basic Alliance Agreement)
当社とロシュは、2001年12月にアライアンスに関する基本契約を締結し、戦略的アライアンスに基づく事業活動を開始いたしました。その後2022年の改定を経て、本基本契約では、以下の各項目を含む、アライアンスの基本原則に関する合意事項を定めております。
・アライアンスのストラクチャー
・開発候補品に関する第一選択権
・ロシュの当社取締役及び監査役の指名権
・当社の上場維持に係るロシュの協力義務
・ロシュ保有株式の処分に関する制限
・株式の発行等に関する制限及びロシュの優先引受権
ライセンス契約
2001年12月に調印した日本包括的権利契約(Japan Umbrella Rights Agreement)により、当社は、ロシュ・グループの日本市場における唯一の医薬品事業会社となり、ロシュが有する開発候補品の日本における開発・販売について第一選択権を保有しております。
また、2002年5月に調印した(日本、韓国を除く)世界包括的権利契約(Rest of the World Umbrella Rights Agreement)を修正し、2014年8月に(日本、韓国、台湾を除く)改訂世界包括的権利契約(Amended and Restated Rest of the World Umbrella Rights Agreement)を締結しました。これにより、ロシュは当社が有する開発候補品の海外(韓国、台湾を除く)における開発・販売について第一選択権を保有しております。
これらの包括契約に加え、当社とロシュは個別の開発候補品ごとに契約を締結しております。この契約条項及び個別の事情に基づき、第三者間取引価格の原則に沿って、以下の項目の支払が行われることがあります。
・第一選択権行使による開発候補品導入時の契約一時金
・開発目標達成によるマイルストン
・売上に対するロイヤルティ
これらの個別契約は、第三者間取引価格の原則に基づき生産・供給等についても包含する場合があります。
研究協力契約
当社とロシュは、バイオ医薬品探索及び低分子合成医薬品研究における研究協力契約を締結しております。
配当
当社のロシュに対する配当は183,032百万円(前連結会計年度81,459百万円)です。
当連結会計年度において、該当事項はありません。