1.経営成績・財政状態に関する分析 ……………………………………………………………………………2
(1)経営成績に関する分析 ……………………………………………………………………………………2
(2)財政状態に関する分析 ……………………………………………………………………………………9
(3)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当 ……………………………………………………9
2.会計基準の選択に関する基本的な考え方 ……………………………………………………………………9
3.連結財務諸表 ……………………………………………………………………………………………………10
(1)連結財政状態計算書 ………………………………………………………………………………………10
(2)連結損益計算書及び連結包括利益計算書 ………………………………………………………………12
連結損益計算書 …………………………………………………………………………………………………12
連結包括利益計算書 ……………………………………………………………………………………………13
(3)連結持分変動計算書 ………………………………………………………………………………………14
(4)連結キャッシュ・フロー計算書 …………………………………………………………………………16
(5)連結財務諸表に関する注記事項 …………………………………………………………………………18
(継続企業の前提に関する注記) ……………………………………………………………………………18
(会計方針の変更) ……………………………………………………………………………………………18
(セグメント情報等) …………………………………………………………………………………………19
(キャッシュ・フロー計算書に関する注記) ………………………………………………………………22
(1株当たり情報) ……………………………………………………………………………………………23
(重要な後発事象) ……………………………………………………………………………………………24
2025年、世界は引き続きめまぐるしく変化し、当社グループを取り巻く経営環境にも大きな影響を及ぼしました。世界各地の消費マインド低迷に加え、健康意識の高まりによりアルコールや砂糖等の消費に対する規制や抑制の動きが強まり、事業環境は一段と厳しさを増しました。AIの進歩により人々の価値観や生活様式は急速に変化し、気候変動や各地での紛争、米国をはじめとする政権交代による経済の不安定化等、変化を的確に捉えた経営が必要とされてきています。
こうした状況下で、当社グループは、一貫してCSV(Creating Shared Value)※1を経営の根幹に据えることにより長期的かつ持続的な成長を目指すとともに、環境変化に迅速かつ柔軟に対応するため、2025年度より、3年計画を毎年見直す新たな経営サイクルに移行しました。
また、酒類・飲料・医薬の各事業に加え、健康課題の解決を事業機会とするヘルスサイエンス事業をグループの成長ドライバーとすることを目指してきました。2025年は、㈱ファンケル(以下、ファンケル社)の100%化完了と、協和発酵バイオ㈱(以下、協和発酵バイオ社)のアミノ酸事業等の売却を行ったことで収益性が改善し、ヘルスサイエンスの成長への事業基盤が整いました。既存の酒類・飲料・医薬事業も堅調に推移し、計画を上回る成果を創出した結果、連結事業利益は3年連続で過去最高を更新しました。
ESG※2の取り組みにおいても、外部機関から高い評価を獲得しました。ESG指標のMSCI ESGレーティング※3では、世界的なCSV経営先進企業と並ぶ「AA」評価を5年連続で獲得しました。
また、当社は、第7回「日経SDGs経営調査」における「SDGs経営」総合ランキングでは、7年連続最高位を獲得し、その中でも1社のみに与えられる最上位の「大賞」を受賞しました。
※1 社会的ニーズや社会課題の解決に取り組むことで、社会的価値の創出と経済的価値の創出を実現し、成長の次なる推進力にしていくことです。
※2 「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」の頭文字を取ったもので、これらの要素を考慮した企業経営や投資活動を指します。
※3 米国モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)社が、環境、社会、ガバナンスのリスクに対する回復力を測定し、AAA-CCCで評価する格付けです。
LION PTY LTD(以下、ライオン社)は、社会・環境パフォーマンス、説明責任、透明性等において高い基準を満たした企業の一員として「B Corp」認証を受けました。北米のNew Belgium Brewing Company, Inc.(以下、ニューベルジャンブリューイング社)及び豪州のBlackmores Limited(以下、ブラックモアズ社)も認証されており、グループの海外主要事業会社の取り組みも高く評価されています。
※4 事業利益:売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、事業の経常的な業績を測る利益指標
セグメント別の業績は次のとおりです。
キリンビール㈱(以下、キリンビール社)は、2026年のビール類酒税一本化をはじめとする酒税改正を見据え、主力ブランドを中心に投資を強化し、魅力あるブランドポートフォリオの構築に取り組みました。人口減少・高齢化のトレンドは継続し販売数量は減少しましたが、ブランド構成の見直しと価格改定効果、費用管理の徹底により、売上収益・事業利益ともに前年を上回りました。
ビールカテゴリーでは「一番搾り」ブランドが堅調に推移しました。4月発売の「一番搾りホワイトビール」と、「一番搾り糖質ゼロ」を加えた3つの異なる個性をもった商品群で店頭のプレゼンスを高めることで、基盤の「一番搾り」も好調を維持し、ブランド全体で前年を上回りました。
また、10月発売の「キリングッドエール」は発売から8日で当初目標の60万ケースを超え、年間販売数量が130万ケースを突破する大ヒットとなり、ビールカテゴリーの活性化と、高付加価値商品の拡充につながりました。
クラフトビールでは、3月に「スプリングバレー」のロゴ・パッケージ・商品名を刷新し、「スプリングバレーブルワリー」として大規模にリブランディングを実施しました。
ノンアルコールでは、9月に「キリン本格醸造ノンアルコール ラガーゼロ」を発売しました。キリンビール史上最もビールに近い味を実現し、未充足だった「本格的なおいしさ」への需要に応えることで、ノンアルコール市場の更なる活性化に寄与し、売上及び利益率の改善に貢献しました。
RTD※5カテゴリーでは、「キリン 氷結®無糖」シリーズが金額ベースで対前年2桁%増と好調に推移し、「キリン 氷結®」ブランド全体を牽引しました。
また、ビールの鮮度を維持し、フードロス削減にも貢献する次世代ビールサーバー「TAPPY(タッピー)」の導入が進み、導入店舗数は3万店を突破しました。「キリンビール 晴れ風」をラインアップに加えるなど、業務用需要の喚起とビール市場の活性化にも貢献しました。
ライオン社は、豪州ビール市場が微減で推移する中、販売数量が前年を上回り、売上収益は現地通貨ベースで前年並み、事業利益は現地通貨ベースでも、円ベースでも増益となりました。クラフトビールの高価格ブランド「Stone & Wood(ストーン&ウッド)」や健康志向を捉えた「Hahn(ハーン)」ブランドが好調に推移しました。適切な価格戦略に加えて、構造改革による固定費削減が奏功し、収益性の向上を実現しました。拡大するRTD市場では、2024年に販売開始した「Hyoketsu(ヒョウケツ)」が、複数フレーバーの展開により好調に推移し、新たな成長機会の創出につながっています。
北米では、クラフトビール市場の縮小や原材料費の高騰という厳しい環境の中、ニューベルジャンブリューイング社の「Voodoo Ranger(ブードゥー・レンジャー)」ブランドは堅調に推移し、市場平均を上回りました。また、「一番搾り」は北米でのブランド強化と物流効率化をグループ内で行うことを目的に、ニューベルジャンブリューイング社での製造・販売体制への移管を完了しました。
なお、ライオン社は、2025年9月まで豪州・ニュージーランド・北米を統括してきましたが、10月以降はオ
セアニアに集中するマネジメント体制に変更しました。
※5 Ready to Drinkの略称で、栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料を指します。
<飲料事業>
国内飲料市場が縮小する中、キリンビバレッジ㈱(以下、キリンビバレッジ社)は、主力ブランド「午後の紅茶」の強化に加え、免疫ケアを中心としたヘルスサイエンス飲料の拡大に注力することで、収益性の改善に取り組み、増収増益となりました。
「午後の紅茶」ブランドは、「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖/おいしい無糖 香るレモン/おいしい無糖 ミルクティー」をリニューアルするとともに、「夏のアイスティー/冬のホットミルクティー」といった季節を捉えたコミュニケーションで、年間を通じた紅茶需要の維持・拡大に取り組みました。また、9月に新商品「キリン 午後の紅茶 FRUITS & ICE TEA」を発売し、紅茶トップブランドとして紅茶の新価値を提案することで、紅茶市場の活性化を図りました。
ヘルスサイエンス飲料では、「プラズマ乳酸菌※6」入りの飲料の拡売に注力しました。「iMUSE(イミューズ)」ブランドからは3月に「キリン イミューズ オフ・ホワイト ヨーグルトテイスト」を新たに発売、「キリン おいしい免疫ケア」シリーズからは11月に「キリン おいしい免疫ケア +ダブルビタミン」を新たに発売し、「プラズマ乳酸菌」入り飲料の選択肢を広げることで、日常的な健康意識の高まりに応える取り組みを進めました。また、6月には子ども向けプラズマ乳酸菌飲料「キリン つよいぞ!ムテキッズ」を一部で発売し、ユーザー層の拡大にも取り組みました。販売店拡大や商品ラインアップ拡充によりお客様接点が広がり、「免疫ケア」という生活習慣の定着に貢献しました。
北米で事業を展開するCoca-Cola Beverages Northeast, Inc.(以下、コーク・ノースイースト社)では、炭酸飲料を中心に販売が堅調に推移し、原材料費が上昇する中でも、高い収益性を維持しました。価格マネジメントに加え、営業活動により販売数量を安定的に確保し、売上収益は前年を上回りました。更に、これまで進めてきた物流拠点への設備投資の効果で、オペレーションの効率化が更に進んだこと等により、現地通貨ベースでも円ベースでも増益となりました。
※6 キリン独自の乳酸菌であり、pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)の働きを助け、健康な人の免疫機能の維持に役立つことが報告
されています。
<医薬事業>
協和キリン㈱(以下、協和キリン社)は、注力する疾患領域の製品である「Crysvita(クリースビータ)※7」及び「Poteligeo(ポテリジオ)※8」の上市国・地域の拡大や市場浸透に取り組み、着実に成長しました。為替の影響や日本国内の薬価改定、更に前年に実施したアジア・パシフィック地域の事業再編に伴う売上減少の影響があったものの、全体としては増収増益となりました。
開発パイプラインではアトピー性皮膚炎の治療を目的とする開発品である「KHK4083(一般名:ロカチンリマブ)※9」の臨床試験が順調に進行しました。更に、急性白血病の治療を目的とする「ziftomenib(米国製品名:KOMZIFTI)※10」は米国において承認されました。また、バイオ医薬開発の更なる加速化に向け建設中であった高崎工場HB7棟の竣工や北米でのバイオ医薬品原薬製造工場の建設等、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして持続的な成長を実現するための取り組みを着実に進めました。
※7 主に遺伝的な原因で骨の成長・代謝に障害をきたす希少な疾患の治療薬です。
※8 特定の血液がんの治療薬です。
※9 アトピー性皮膚炎の治療を目的とする開発品です。結節性痒疹、喘息を対象とした臨床試験も進行中です。
※10 急性白血病の治療を目的とする開発品(米国製品名:KOMZIFTI)です。
世界的に健康意識が高まる中、2025年も栄養補助食品市場は拡大が続きました。ヘルスサイエンス事業ではアジア・パシフィック地域を中心としたお客様の健康課題の解決に向けて、サプリメントや健康食品、スキンケアの各分野で事業基盤の強化を推進しました。協和発酵バイオ社のアミノ酸事業等の売却完了やファンケル社の通年での連結取り込みが寄与し、ヘルスサイエンス事業は黒字化を達成し、将来成長に向けた基盤が整いました。
ファンケル社では、スキンケアを中心とした化粧品事業において、主力の「マイルドクレンジング オイル」の販売が堅調に推移したほか、「アテニア」ブランドが国内外で売上収益を伸ばしました。「アテニア」ブランドの「スキンクリア クレンズ オイル」※11は、日本最大のコスメ・美容の総合サイト@cosmeの「ベストコスメアワード」において、スキンケア部門では史上初となる、2年連続の総合大賞を受賞しました。サプリメント事業では、海外における年代別サプリメントの販路拡大やマーケティング手法の見直しが奏功し、全体の成長を牽引しました。
ブラックモアズ社では、主力ブランドである「Blackmores(ブラックモアズ)」や、薬剤師等により販売されるブランド「BioCeuticals(バイオシューティカルズ)」の販売が好調に推移しました。オセアニア、東南アジア・韓国及び中国の全ての展開エリアで売上収益が前年を上回り、事業利益も増加しました。また、将来の収益性向上を目的として、豪州において分散している製造・物流拠点を集約することによりサプライチェーンを効率化する取り組みを開始しました。
プラズマ乳酸菌事業では、売上収益が前年比で2割増と堅調に推移しました。サプリメントについては、国内の好調に加え、ブラックモアズ社の販路を活用した台湾での新商品展開等、グローバルでの「プラズマ乳酸菌」配合商品の展開を進めました。特に海外向けの菌体出荷は、販売金額ベースで前年比約5割増と大きく伸長しました。
※11 「スキンクリア クレンズ オイル アロマタイプ リフレシングシトラスの香り」が@cosme ベストコスメアワード2025 総合大賞
を受賞しました。
次期の見通し
キリングループを取り巻く経営環境は、健康志向の高まり、酒類規制やアルコール離れ、AI等デジタル技術の進化、労働力不足等、急速に変化しています。更に、気候変動や地政学リスクの高まりにより経済の先行きは不透明です。当社グループは、迅速かつ柔軟に変化に対応する経営体制を継続しながら、CSV先進企業として、事業を通じた社会課題の解決により企業価値向上を目指します。新たに策定した2035年の長期ビジョン「人と技術の力でイノベーションを起こし続けるCSV先進企業として世界をもっと元気にしている」姿を実現するため、2026年は「変革の起点」として、イノベーションを次々と生み出す組織づくりを加速します。人財への投資を強化するとともに、グループ共通の価値観・行動指針である「KIRIN WAY」をグローバルに浸透させることで、組織の一体感と変革力を高めていきます。
組織能力の強化により、酒類、飲料・ヘルスサイエンス、医薬の各事業が自律的に成長し、かつ事業の掛け合わせによるシナジーを最大化することを目指します。特に、ヘルスサイエンス事業のアジア・パシフィックを中心とした成長を加速し、グループの第3の柱として収益性を高めます。
事業の稼ぐ力を高めるとともに、株主利益の更なる向上のため引き続き当期利益を重視した経営を進め、「EPS」及び「ROIC」の財務目標達成を目指します。非財務目標については、新たに「R&D(研究開発)」「デジタル」を加え、各項目の達成を通じて持続的成長を実現します。
<次期業績予想>
①酒類事業
お酒に対するお客様の価値観が多様化する中、キリンビール社は、CSVパーパスの「酒類事業を営むキリングループとしての責任」を基盤に、お酒の未来を創造し、人と社会につながるよろこびを創出することに注力していきます。
2026年は、ビール類酒税一本化が予定されており、ビールやRTDを中心とした成長カテゴリーへの集中的な投資を推進することにより、市場を上回る成長を目指します。ビールでは、主力となる「一番搾り」「キリンビール 晴れ風」ブランドの強化に加え、好調の「キリングッドエール」を育成し、エコノミー領域では「本麒麟」を中心に投資し、基盤強化と高収益化を実現します。RTD分野では「キリン 氷結®」のブランド力向上に加え、新たな価値創造にも取り組みます。
健康志向や多様なライフスタイルに応える商品群では、ノンアルコールカテゴリーの商品ラインアップ拡充や、既存の機能系ブランドの強化を中心に、技術力を活かした価値創造により新たな事業の柱の確立を目指します。クラフトビールでは、「スプリングバレーブルワリー」ブランドから少量限定商品「ブリュワーズライン」を2025年11月に発売し、今後も新たな限定商品の展開を計画しています。また、地域ブルワリーや行政と連携し、クラフトビールを軸としたまちづくりや文化醸成を横浜市を皮切りに展開していく予定です。デジタルやリアルでのファン化施策も拡大することで、クラフト市場全体の成長にも貢献していきます。
ライオン社は、2025年10月より豪州とニュージーランドの事業を統合し、オセアニアに注力した新たな経営体制のもと、市場を上回る成長と収益性向上を一体的に推進します。両国市場を横断したナレッジの共有やコスト効率化を図りつつ、価格マネジメントと好調な「Hahn (ハーン)」や「Stone & Wood(ストーン&ウッド)」ブランド強化により、競争優位性を高めます。また、オーストラリアとニュージーランドで展開する「Hyoketsu(ヒョウケツ)」等の販売拡大にも取り組みます。
北米のニューベルジャンブリューイング社は、「Voodoo Ranger(ブードゥー・レンジャー)」の拡大に加え、現地製造販売を開始した「一番搾り」の北米での販売も拡大します。
②飲料事業
国内飲料市場の厳しい競争環境が続く中、キリンビバレッジ社では、「お客様の毎日に、おいしい健康を。」をパーパスに掲げ、ヘルスサイエンス飲料拡大に注力します。子供向けプラズマ乳酸菌入り飲料「キリン つよいぞ!ムテキッズ」の全国発売をはじめ、プラズマ乳酸菌を中心とした「免疫ケア」飲料のラインアップ拡充により幅広い世代への健康価値提案を推進します。
また、需要が高まる無糖茶に対応して「午後の紅茶」の無糖シリーズを一層強化していきます。4月には特定保健用食品「キリン ヘルシア うまみ緑茶」の全面リニューアルも予定し、市場拡大を目指します。
北米のコーク・ノースイースト社では、好調な炭酸飲料を主軸に、引き続き、市場環境にあわせた価格戦略と売り場づくりによる売上増加を目指します。輸入関税影響による原材料費増加も想定されますが、オペレーション効率化と費用管理を一層推進し高い収益性を維持します。
③医薬事業
協和キリン社は日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして、病気と向き合う人々に笑顔をもたらす“Life-changing(ライフ チェンジング)”な価値創出に向けた取り組みを加速していきます。引き続き、注力する疾患領域の製品である「Crysvita(クリースビータ)」や「Poteligeo(ポテリジオ)」の成長による利益拡大を目指します。「KHK4083(一般名:ロカチンリマブ)」や「ziftomenib(米国製品名:KOMZIFTI)」の開発推進及び販売開始に向けた取り組みを着実に進めるとともに、パイプラインを更に強化していきます。
④ヘルスサイエンス事業
キリングループは、アジア・パシフィック最大級のヘルスサイエンスカンパニーを目指し、グループ各社の強みを結集して持続的な成長と社会課題の解決に取り組んでいきます。ファンケル社、ブラックモアズ社等グループ各社が、それぞれの強みを活かしながら成長を加速させ、シナジーを創出します。また、各国・地域の市場環境や健康課題を的確に捉え、自社の経営資源を最適に活用し、現地に根差した柔軟な戦略を展開していきます。
ファンケル社は国内のスキンケアをはじめとした化粧品事業、サプリメント事業において、中長期的視点に基づいたブランド力強化を進めます。全チャネルで統合したお客様データとデジタル技術の強みを活用し、一人ひとりに合わせたご提案やサービスを通じて、顧客体験価値の向上を目指します。海外では、2026年中に、東南アジア・中国においてサプリメント・スキンケアを当社グループで全ての販売・マーケティングができる体制を整備し、ブラックモアズ社との協業によるブランド育成と事業拡大に取り組みます。
ブラックモアズ社は、豪州・ニュージーランドでの「Blackmores(ブラックモアズ)」及び薬剤師等により販売される「BioCeuticals(バイオシューティカルズ)」の成長加速に取り組みます。市場成長率とブランド認知率の高い東南アジアでのマーケティング投資を継続するほか、中国では、ECを含む販売チャネルの強化と更なるブランド浸透を通じて収益拡大を目指します。
キリングループは、今後もユニークな事業ポートフォリオ経営と確かな戦略実行力で、持続的な成長と企業価値向上に取り組みます。従業員一人ひとりがイノベーションに挑戦し続けることで、世界のCSV先進企業として更なる飛躍を目指します。
当年度末の資産合計は、協和キリン㈱における開発品導入等に伴う無形資産の増加及び工場建設の進行に伴う有形固定資産の増加等により、前年度末に比べ1,399億円増加して3兆4,940億円となりました。
資本は、㈱ファンケルの追加取得に伴う非支配持分の減少があった一方で、為替変動の影響等によるその他の資本の構成要素の増加等により、前年度末に比べ614億円増加して1兆5,951億円となりました。
負債は、新規発行による社債の増加等により、前年度末に比べ785億円増加して1兆8,989億円となりました。
当年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前年度末に比べ174億円増加(会計方針の変更による減少107億円を除く)の1,253億円となりました。活動毎のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
営業活動による資金の収入は前年同期に比べ526億円増加の2,954億円となりました。税引前利益は前年同期に比べ981億円増加の2,379億円となり、また、減価償却費及び償却費として1,019億円を計上しました。一方、前年同期に比べ運転資金の流出は123億円増加、法人所得税の支払額は178億円減少しました。
投資活動による資金の支出は前年同期に比べ1,444億円減少の1,850億円となりました。有形固定資産及び無形資産の売却により81億円の収入がありました。一方、有形固定資産及び無形資産の取得については前年同期に比べ50億円減少し1,756億円の支出、また、子会社株式の取得については前年同期に比べ1,449億円減少し149億円の支出となりました。
財務活動による資金の収支は1,105億円の支出(前年同期は581億円の収入)となりました。社債の発行により1,000億円、長期借入により280億円の収入がありました。一方、非支配持分からの子会社持分取得により818億円、配当金の支払により735億円、社債の償還により350億円、長期借入金の返済により300億円、リース負債の返済により209億円の支出がありました。
当社は事業への資源配分及び株主の皆様への利益還元を以下の通り考えております。
事業への資源配分については、ヘルスサイエンス領域を中心とした成長投資を最優先としながら、既存事業の強化・収益改善に資する投資を行います。また、将来のキャッシュ・フロー成長を支える無形資産(ブランド・研究開発・ICT・人的資本など)への資源配分を安定的かつ継続的に実施します。なお、投資に際しては、グループ全体の資本効率を維持・向上させる観点からの規律を働かせます。
株主の皆様への適切な利益還元についても、経営における最重要課題の一つと考えており、当期の剰余金の配当につきましては、DOE(連結株主資本配当率)5%以上に基づき、1株につき中間配当37.0円、期末配当37.0円とし、前期に比べ3.0円増配の74.0円とすることを取締役会で決議しました。なお、期末配当につきましては、2026年3月27日開催予定の第187期定時株主総会に付議する予定です。
自己株式の取得については引き続き、追加的株主還元として最適資本構成や市場環境及び投資後の資金余力等を総合的に鑑み、実施の是非を検討していきます。
次期の剰余金の配当につきましては、DOE(連結株主資本配当率)5%以上を目安とし、年間76.0円の配当を予定しております。
2.会計基準の選択に関する基本的な考え方
当社グループは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上を目的に、2017年度より、国際財務報告基準(IFRS)を適用しております。
前年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
当年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)
該当事項はありません。
当社グループは、当年度よりIAS第21号「外国為替レート変動の影響」(2023年8月改訂)を適用しております。
この改訂の概要は、通貨が他の通貨と交換できるかどうかの評価、並びに交換できない場合に使用すべき為替レート及び提供すべき開示の決定における一貫したアプローチを明確化したものになります。この明確化されたアプローチに従って、以下の取引に係る現金及び現金同等物の換算に用いる外国為替レートについて変更しております。
当社の連結子会社であるKirin Holdings Singapore Pte, Ltd.は、日本国内の銀行の在ミャンマー支店においてミャンマーチャット預金残高を保有しております。2022年4月にミャンマー中央銀行から外貨兌換規制が発令され、ミャンマーチャット(MMK)から外貨への両替及び海外送金には当局の承認が必要となり、同社が保有する一部の現金及び現金同等物の利用に一定の制限を受けております。
(単位:千チャット)
従来、ミャンマー中央銀行が定める公定レートを当該現金及び現金同等物の換算に用いておりましたが、ミャンマー中央銀行が通貨交換の際に提示するMarket Trading Rateを用いる方法に変更しております。
なお、当期首に適用した為替レートは、3,588MMK/USDです。
当社グループでは、経過措置に従って、適用開始時の影響額を当年度の利益剰余金期首残高の修正として認識しております。これにより、当年度の連結持分変動計算書における利益剰余金の2025年1月1日残高及び連結キャッシュ・フロー計算書における現金及び現金同等物の期首残高が、「会計方針の変更による影響額」としてそれぞれ10,731百万円減少しております。
(1) 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっている事業セグメントを基礎に決定しており、「酒類事業」「飲料事業」「医薬事業」「ヘルスサイエンス事業」の4つを報告セグメントとしております。
「酒類事業」 は、麒麟麦酒㈱、LION PTY LTDを中心に、国内外における酒類事業を行っております。国内においては、麒麟麦酒㈱を中心に、ビール類、低アルコール飲料等の製造・販売を行っております。海外においては、主にLION PTY LTDを統括会社とした、オセアニア地域におけるビール、低アルコール飲料等の製造・販売、並びに北米におけるクラフトビール等の製造・販売を行っております。
「飲料事業」は、キリンビバレッジ㈱、Coca-Cola Beverages Northeast, Inc.を中心に、国内外における清涼飲料事業を行っております。キリンビバレッジ㈱は日本における清涼飲料の製造・販売を行っております。Coca-Cola Beverages Northeast, Inc.は、米国におけるコカ・コーラ製品の製造・販売を行っております。
「医薬事業」は、協和キリン㈱を中心に国内外における医薬品の製造・販売を行っております。
「ヘルスサイエンス事業」は、㈱ファンケル、Blackmores Limitedを中心に国内外における健康食品事業等を行っております。㈱ファンケルは、国内を中心に化粧品・健康食品の研究開発、製造・販売を行っております。Blackmores Limitedは、豪州、東南アジア、中国を中心にサプリメント等の栄養補助食品の製造・販売を行っております。なお、当社は、前第3四半期連結会計期間に㈱ファンケルを連結子会社化し、「ヘルスサイエンス事業」に区分し開示しております。
また、セグメント情報における会計方針は、当社の連結財務諸表における会計方針と概ね同一であります。
セグメント間売上収益は、市場実勢価格に基づいております。
各報告セグメントに関連する情報を以下に記載しております。
前年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(注) 1 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであります。
2 調整額は以下のとおりであります。
(1) セグメント利益(△は損失)の調整額は、主にセグメント間取引消去及び各報告セグメントに配分していない費用が含まれております。当該費用は、主に純粋持株会社である当社のグループ管理費用及び機能分担子会社において発生する複数の報告セグメントに関わる管理費用であります。
(2) セグメント資産の調整額は、セグメント間債権債務消去及び各報告セグメントに配分していない資産が含まれております。当該資産は、主に純粋持株会社である当社及び機能分担子会社の余資運用資金(現金及び預金)、長期投資資金(資本性金融商品)及び管理部門に係る資産等であります。
3 セグメント利益(△は損失)は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除した金額である事業利益を使用しております。
当年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)
(注) 1 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであります。
2 調整額は以下のとおりであります。
(1) セグメント利益(△は損失)の調整額は、主にセグメント間取引消去及び各報告セグメントに配分していない費用が含まれております。当該費用は、主に純粋持株会社である当社のグループ管理費用及び機能分担子会社において発生する複数の報告セグメントに関わる管理費用であります。
(2) セグメント資産の調整額は、セグメント間債権債務消去及び各報告セグメントに配分していない資産が含まれております。当該資産は、主に純粋持株会社である当社及び機能分担子会社の余資運用資金(現金及び預金)、長期投資資金(資本性金融商品)及び管理部門に係る資産等であります。
3 セグメント利益(△は損失)は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除した金額である事業利益を使用しております。
① 売上収益
(単位:百万円)
(注) 売上収益は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。
② 非流動資産
(単位:百万円)
(注) 非流動資産は、金融商品、繰延税金資産、退職給付に係る資産は含んでおりません。
外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先は、次のとおりです。
(単位:百万円)
なお、当年度については、外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
(キャッシュ・フロー計算書に関する注記)
当年度において、当社は連結子会社である㈱ファンケル(以下「ファンケル」という。)の株式を追加取得いたしました。
これは、2024年12月20日付で効力が発生した株式併合により生じた1株に満たない端数となる株式に関して、2025年3月14日付で当社に対する売却が完了し、同日付における当該株式の譲渡契約の効力発生をもって当社のファンケルに対する所有持分が75.62%から100%になったものであります。
なお、取得対価は現金82,573百万円(未払金を含む)であり、連結キャッシュ・フロー計算書の「非支配持分からの子会社持分取得による支出」として表示しております。また、追加取得に伴い非支配持分が62,814百万円、資本剰余金が19,814百万円減少しております。
基本的1株当たり当期利益の算定上の基礎は、以下のとおりであります。
① 親会社の普通株主に帰属する利益(基本的)
② 加重平均普通株式数(基本的)
希薄化後1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期利益及びすべての希薄化潜在的普通株式の影響を調整した加重平均普通株式数に基づき、以下のように算定しております。
① 親会社の普通株主に帰属する当期利益(希薄化後)
② 加重平均普通株式数(希薄化後)
当社は、2026年2月6日付(日本時間)で、当社の連結子会社であるKirin Beer & Spirits of America Inc.が、その完全子会社であるFour Roses Distillery, LLC(以下「Four Roses社」)の全持分を譲渡する持分譲渡契約を E. & J. Gallo Winery(以下「Gallo社」)と締結しました。
当社が2002年にFour Roses社を取得して以来、同事業は米国市場を中心に順調な成長を遂げ、当社の企業価値向上に貢献してまいりました。
一方で、キリングループは中長期的な視点からバランスシート·事業ポートフォリオの見直しを定期的に実施しており、このたび慎重に検討を重ねた結果、Gallo社に譲渡する契約を締結しました。
E. & J. Gallo Winery
2026年度第2四半期(予定)
(注) 譲渡価額のうち約80億円(50百万米ドル)は、本持分譲渡後にFour Roses社が一定の売上収益目標を達成することを条件として発生する可能性がある対価となります。また、実際の譲渡価額は、譲渡契約に定める持分譲渡実行時の価格調整を実施した金額となる予定です。
当社は、2026年2月13日開催の取締役会において、会社法第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条の規定に基づき、自己株式取得に係る事項について決議したとともに、会社法第178条の規定に基づき、自己株式消却に係る事項について決議いたしました。
当社は、安定配当と成長戦略の実行に向けた投資を最優先とする資本配分方針のもと、財務状況及び資本効率などを総合的に勘案し、最適なキャッシュアロケーションの一環として自己株式の取得及び消却を行うことといたしました。機動的な資本政策の遂行、資本効率の向上を通じて、中長期的な企業価値及び株主価値の向上を図ることを目的としております。
1.連結財政状態計算書サマリー
2.連結損益計算書サマリー・指標等
3.売上収益明細
4.利益増減明細
5.連結キャッシュ・フロー計算書サマリー
キリンホールディングス株式会社
2026年2月13日
(単位:億円)
(1)損益計算書サマリー・指標等
(単位:億円)
ROIC=利払前税引後利益/(有利子負債の期首期末平均+資本合計の期首期末平均)
平準化EBITDA=事業利益+減価償却費及び償却費(※)+持分法適用会社からの受取配当金
※減価償却費及び償却費は使用権資産の償却費を除いております。
(2)主要在外会社損益の為替換算レート
(単位:円)
(3)主要在外会社損益の取込期間
(単位:億円)
(1)事業利益明細
(単位:億円)
(注) 各セグメントの利益は事業利益に当社へのマネジメントフィを足し戻した金額であるマネジメントフィ控除前事業利益を使用しております。
(2)その他の営業収益・その他の営業費用
(単位:億円)
(3)金融収益・金融費用・持分法による投資利益 等
(単位:億円)
(1)キャッシュ・フロー計算書サマリー
(単位:億円)
(注) 現金及び現金同等物の期首残高を減少させており、「現金及び現金同等物の増減額」に含めておりません。
(2)セグメント別情報
2025年期末実績
(単位:億円)
(注) 減価償却費及び償却費は使用権資産の償却費を除いております。
2024年期末実績
(単位:億円)
(注) 減価償却費及び償却費は使用権資産の償却費を除いております。
1.連結損益計算書サマリー・指標等
2.売上収益明細
3.利益増減明細
4.セグメント別情報
キリンホールディングス株式会社
2026年2月13日
(1)損益計算書サマリー・指標等
(単位:億円)
ROIC=利払前税引後利益/(有利子負債の期首期末平均+資本合計の期首期末平均)
(2)主要在外会社損益の為替換算レート
(単位:円)
(3)主要在外会社損益の取込期間
(1)売上収益明細
(単位:億円)
※ 1 キリンビール単体の他、台湾麒麟等の連結構成会社を含む
2 北米ワインを含む
(1)事業利益明細
(単位:億円)
※ 1 キリンビール単体の他、台湾麒麟等の連結構成会社を含む
2 北米ワインを含む
2026年通期予想
(単位:億円)
(注) 減価償却費及び償却費は使用権資産の償却費を除いております。
2025年通期実績
(単位:億円)
(注) 減価償却費及び償却費は使用権資産の償却費を除いております。